CRM施策で顧客管理はどう変わる?メリットや活用事例を紹介

2021.01.09

自分が売りたいものを売るだけではビジネスは成り立ちません。ビジネスを成長させるカギは、顧客が必要としているものを売ることにあります。

そのためには顧客のことをよく知らなくてはならず、顧客を知るには適切な顧客管理が必要不可欠です。顧客管理ツールのひとつである「CRM」を導入することによって、顧客管理はどう変化するのでしょうか。

CRMの概要やCRMを活用した施策を解説しつつ、実際の活用事例についてもご紹介します。

CRM・顧客管理とは?

まずは「CRM」とは何か、「顧客管理」とは顧客の何をどのように管理をすることなのかを解説していきます。

CRMとは

「CRM」とは、「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)」の頭文字を取った言葉です。

「リレーションシップ」とは「関係」という意味であり、CRMを日本語で表すと「顧客関係管理」や「顧客管理」となります。

具体的には、顧客の情報をひとつにまとめて管理し、それを基に長期間にわたって顧客との良好な関係を構築していくための仕組みのことを指します。

転じて顧客管理を行う専用ツールそのものを示すことも少なくありません。

顧客管理とは

顧客管理とは一般的に、顧客の個人情報や属性、購入履歴などのデータを集めることと思われることが多いですが、それだけではありません。

データを集めた上で顧客との関係維持に役立てることこそが、顧客管理の真の目的と言えます。

自分のビジネスを必要としている顧客について知るのは、顧客満足度を高めるために欠かせせません。

しかし「データの分析に手間がかかる」、「データの活用方法が分からない」といった理由で、単に顧客情報を蓄積しているだけのケースも少なくありません。

CRMは、こういった悩みを解消しながら成果を上げるためにあります。

CRMとSFAの違い

CRMと同一視されがちなものに「SFA」があります。SFAとは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」のことで、日本語では「営業支援システム」などと表記されます。

これは顧客と接して営業や販売を行う「人的販売」を支援するツールのことです。

CRMとSFAはどちらも顧客管理の機能を備えていますが、収集したデータを使って何をするのかが違います。

CRMができることが「レポート」や「分析」を基にした「顧客情報全体の管理」に重きを置いていのに対し、SFAが実現するのは「営業活動の効率化」です。

SFAは企業活動の中の「セールス」に特化したツールであり、つまりCRMとSFAでは、達成すべき目的が異なると言えるでしょう。

CRMのメリット

CRMを導入する1つ目のメリットは、顧客情報の一元化ができることです。例えば実店舗とECサイトの両方を運営しているときに、それぞれの顧客管理が分断していては顧客の全体像を把握することができません。

複数の店舗を展開している場合にも同じことが言えるでしょう。

2つ目のメリットは、データを蓄積することによって問題を検証したり、改善点を発見できたりすることです。顧客の傾向や動向を分析することで「リピーターが少ない」などの問題点が見えてきます。

3つ目のメリットは、問題を改善することによって顧客満足度の向上を図ることができることです。この顧客満足度の向上こそが、CRMが目指すひとつのゴールと言えるでしょう。

顧客管理に欠かせない要素

顧客管理のために必要な要素は、データの「収集・分析・活用」の3つに分けることができます。データがなければ分析はできませんし、分析しても活用しなければ無駄になってしまいます。

「収集・分析・活用」をバランス良く、かつスムーズに行うには、仕組み作りが重要です。

まずデータを「収集」するには、収集方法などを決めましょう。「分析」を行うには、データを分析する目的を決める必要があります。

そのためには顧客のどんな情報が必要なのかを把握し、「収集」の段階に反映させておくのも重要でしょう。

例えば「リピーターの年齢層を調べて広告の出稿先を決める」という目的があるならば、顧客の年齢(生年月日)や購入頻度のデータを収集した上でリピーターを定義し、分析を行います。

さらに「活用」の段階では、施策を実行に移した上で効果を測定し、成功したか失敗したかを見定めることが重要です。効果が薄ければ別の改善案を立てるなどして、立案・実行・評価・改善のサイクルを回し続ける必要があります。

CRM導入のポイント

CRMは、顧客情報を管理し顧客とより良い関係を築くために欠かせないツールです。ただし導入する際には、顧客管理体制のみならず業務プロセス全体をがらりと変える必要があります。

これはCRMが単なるデータ蓄積ツールではなく、データを基に分析を行い、改善計画を立案し、適切な施策を講じて業績を伸ばすためのマーケティングツールであるからです。

また、運用には相応の手間やコストが発生します。CRMの機能や料金はツールによって様々ですが、膨大なデータを扱いたい場合や、高性能かつ高速のシステムを使いたい場合は高額になってしまいます。

さらに、あくまでも長い目で見つつ顧客との良好な関係を構築していくための仕組みですので、導入後すぐには効果が出ません。

長期的に運用するものだということを忘れず、定着するまでは柔軟に体制を整えながら運用することが大切です。

CRM施策の基本

次に「収集・分析・活用」で構成されるCRM施策の基本と、それに対応する機能を解説していきます。

CRM施策の基本1:顧客情報の収集

CRMで最初に取り組むべき施策は、顧客情報の収集です。顧客データと言うと、住所・氏名・性別・生年月日などの個人情報をイメージしがちですが、それだけに留まりません。

職業や家族構成、年収、好みのライフスタイル、趣味なども重要な要素です。さらに「いつ、どこの店舗で、何を買ったか」、「購入する頻度」、「リピートしている商品」といった情報も必要になってくるでしょう。

ECサイトでは顧客自身がパーソナルデータを入力する上に、購入履歴や問い合わせ履歴が残るため、ほぼ自動的に正確かつ詳細なデータを収集可能です。

実店舗ではポイントが貯まる会員カードの発行、名刺やPOSデータの収集といった方法があります。飲食店などでは、顧客情報を得るためのアンケート用紙を店内に設置している店舗も少なくありません。

ただしこういったアナログ的な情報収集にはどうしても限界があるため、より多くのデータを収集するためには店舗向けスマートフォン用アプリの活用など、デジタルツールも視野に入ってきます。

顧客が増えるほどデータは膨大になり、収集だけでも煩雑になりがちなもの。CRMの「顧客管理機能」では、これらの顧客情報や購入履歴、対応履歴などを一括管理できます。

CRM施策の基本2:顧客情報の加工・分析

顧客データをある程度収集できたら、次に取り組むのはデータの加工と分析です。加工とは、データのフォーマットを統一するなど分析がしやすい形に整えることです。

つまり異なるフォーマットでデータを集めてしまうとここでかなりの手間がかかりますが、CRMを導入すればその心配はいりません。

分析を行う際は、あくまでも目的ではなく手段だということを忘れず、何のために分析を行うかを明確にしておきましょう。

顧客情報の分析には、顧客を10個のグループに分ける「デシル分析」や、最新購買日・購買頻度・累計購買金額を使う「RFM分析」などが使われます。

これをExcelなどを使って手動で行うには相当な労力が必要ですが、CRMの「分析機能」を活用すれば簡単に顧客の傾向や特徴を把握することができます。

CRM施策の基本3:マーケティング施策の立案

分析によって問題や改善点が理解できたら、分析結果をもとに顧客セグメントを設定し、セグメントごとに効果的なマーケティング施策を立案しましょう。

分析によって正しい意思決定がしやすくなり、より適した施策を講じやすくなります。ここで役に立つCRMの機能は、「データ検索機能」や「ファイル共有機能」などです。

例えば「来月誕生日を迎える顧客にダイレクトメールでクーポンを送る」という施策を立案した際には、誕生月で検索し該当する顧客のリストを取得する必要があります。

CRM施策の基本4:マーケティング施策の実行・検証・改善

マーケティング施策を実行したら、効果測定・検証・評価・改善のサイクルを回しましょう。ここで役に立つのは「メール配信機能」や「問い合わせ管理機能」、「進捗管理機能」などです。

メール配信機能を使うと、一斉配信はもちろんのこと、分析によって設定したセグメントごとにメールを送ることもできます。外部のメール配信ツールを使う必要はありません。

問い合わせ管理機能では保存されている顧客情報を参照できるため、スピーディーな対応が可能で、問い合わせ履歴を残すこともできます。進

捗管理機能では商談の進み具合を社内で共有でき、担当者に依存しない対応が可能です。

CRMを顧客とのコミュニケーションに活用することにより、業務の自動化や対応漏れ防止に役立ちます。

CRM施策事例

実際にCRMを導入し、売上アップを実現させた事例を3つご紹介します。

CRM施策事例1:化粧品メーカー

フランスのコスメティックブランド「L’OCCITANE(ロクシタン)」を日本国内で展開するロクシタンジャポン株式会社の例を見てみましょう。

ロクシタンジャポンではデパートなどに100を超える実店舗を構え、ECサイトによる販売も行なっていますが、店舗利用の顧客とECサイト利用の顧客の連携が課題となっていました。

そこでまず行なったのが、実店舗とECの会員IDの統合です。会員データをひとつにまとめることによって顧客の購入状況が明確になり、必要なデータをすぐに取り出せるデータベースが構築できました。

このデータを分析し、適切な商品を提案することで購入率が向上。

さらに実店舗とECサイトの両方を利用する人は、特に購入頻度が高いお得意さまであることが分かり、行動パターンに合わせたマーケティングを行うことで、さらなる売上アップを実現したのです。

コスメ用品は「使い心地を試したい」、「香りを確認したい」といったニーズが高く、「使ったことのない商品は実店舗で見てから買う」というユーザーも少なくありません。

こういった特徴のある商品を扱う場合、オムニチャネル化を成功させるカギはCRMによる「実店舗とECサイトのデータ一元化」にあり、非常に参考になる事例です。

CRM施策事例2:アパレル

アパレル業界での成功事例です。とある女性向けのアパレル企業では、リピート率が低いという課題を抱えていました。

これを改善するためにまず購入回数ごとの離脱率を分析したところ、購入回数2回目までの顧客が離脱しやすいことが判明。

離脱を防ぐために、購入された商品ごとにお手入れ方法を案内するメールを配信しました。

一定の効果はあったものの、さらに全体の売上アップを狙ってクロスセルの施策を立案。購入商品ごとにお手入れ方法とコーディネートを提案するメールを配信したところ、リピート率を向上させることに成功しました。

購入回数に関する分析を詳細に行い、顧客にとって役に立つ情報をフォローメールで伝えることによって顧客満足度をアップさせることができた好例です。

CRM施策事例3:総合通販

総合通販事業を手がける企業での成功事例です。CRMで商品分析を行ったところ、リピート率が低い商品が多数存在することが判明。

そこで顧客ニーズの発掘とペルソナ設定を目的にアンケート調査を実施し、顧客データを収集しました。

アンケートを行うことでそれまで把握していなかったニーズが可視化され、顧客フォローに注力したところ、商品別の平均継続回数をアップさせることに成功しました。

CRMの商品分析機能によって、継続して購入される商品とされない商品があると分かったことから実現できた施策です。

顧客のニーズがどこにあるかを把握することは非常に重要であり、リピーターの多い商品を積極的にPRすることでLTV(顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益)を向上させれば、長期的な利益を獲得することにもつながります。

CRM施策を利用して効率的なマーケティングを

顧客管理とは、単に顧客のデータを収集することではありません。集めたデータを分析・活用することこそが重要です。CRMを導入することでより正確に顧客について知ることができ、効果的な施策が立てやすくなります。

一歩進んだ顧客管理を実現するCRMの導入には業務プロセスの見直しが必要で、コストもかかりますが、情報を蓄積すればするほど高い成果を期待できます。CRMを効果的に活用し、売上アップを実現させましょう。

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