東京スタートアップ法律事務所の未来を切り拓く「BOTCHAN AI」の最新事例をご紹介します。本記事では、代表社員弁護士の中川氏がどのようにAI導入に踏み切り、法律相談のハードルを下げ、最終的に「お問い合わせ」に結びつけている、その実績を紐解きます。AIが提供する温かいコミュニケーションが、お客様との信頼を築く鍵になりつつあるのではないか、未知の可能性と成功の道を垣間見ながら、AIがもたらす法律業界の変革に迫ります。
BOTCHAN AI 事業責任者 森川智貴(以下、ー)
まず最初に、中川先生の自己紹介と事業内容について簡単にお聞かせいただけますでしょうか?
東京スタートアップ法律事務所 代表社員弁護士 中川 浩秀氏 (以下、中川氏)
はい。東京スタートアップ法律事務所という法律事務所を経営しております。開設からちょうど5年ほど経ち、個人と法人どちらも対応している総合型の事務所です。
公式サイト:https://tokyo-startup-law.or.jp/
司法試験合格後に小さな弁護士事務所に入り、そのあと大手の法律事務所で支店長を経験しました。実は一時的に弁護士の仕事を休業している時期があり、その間にはバスケットボールのプロテストを受けたりしていました。笑(当時は約200倍の倍率で外国からの選手が合格していたみたいです。)
その後は地域SNSのようなアプリを開発していたり、年間200日以上旅行に行ったりなど様々なことに挑戦した後、現在の事務所を作りました。
令和の虎チャンネルにも虎として出演したことがあります。
ー幅広くチャレンジされていたんですね!
そんな中で『弁護士事務所×チャットボット』は、あまり馴染みのない組み合わせかなと思うのですが、当時持たれていた課題としてはどのようなものがあったのでしょうか?
中川氏
やっぱりCVRに課題がありましたね。
サイトに訪れた人が問い合わせしてくれる確率をもっと高めたいとずっと考えていました。
弁護士事務所という特性上、当初は有人チャットとして稼働させたいなと思っていました。オペレーターを後ろで待機させ、24時間いつでも相談可能!のような。
実際やろうとしていたのですが、さすがにコストもリソースもかかりますし慎重に検討していました。また、相談者さん側に立ち返ってみると、逆にシステムチックな対応の方がいいのかも?というような仮説も出てきたんです。
そんな話をちょうどしていたときに、Speeeさんからこんなのありますよって「BOTCHAN AI」をご紹介いただき、AIでやってくれるんだったらいいなと思って導入を決めました。
ーなるほど。業界的な特性もあり、CVRを向上させたいという課題感に対して、『有人で対応しすぐに返答がもらえる』という安心感を持ってもらうことは重要なんですね。
中川氏
そうですね。相談者さん側は不安な思いを抱えて問い合わせをしてきていただいているので、即時に対応して解決のために少しでも前に進めるというのは重要な安心材料になるのではないかと考えました。
実際に、本当に後ろに人が待機していて、問い合わせが送られた瞬間にこちらから返答するみたいな接客体験が実現するのであればかなりいいだろうな、とは思いますね。ただ先ほどもお伝えしたように、人的リソースの問題が出てきますし、返答内容の教育等のコスト面も考えないといけないですよね。
一度自分でやってみようかなと思ったのですが、夜弱いところもありやはり厳しいなと。笑
ー ありがとうございます。
そんな中、弊社プロダクトの導入を決定いただいた背景をお聞かせいただけますでしょうか。
中川氏
はい。
前提として、どこまでAIがちゃんと回答できるのかっていうところはかなり半信半疑だったんです。ただご提案いただいたタイミングが、『ChatGPT』が世の中的にも広まりつつあった時期で、そこで自分自身がAIの力に感動したのが大きい決め手になりましたね。だからChatGPTとの合わせ技で、弊社専用のAIに進化していくんだったらかなり大きな可能性があるなと感じました。
また、wevnalさんのサポート体制に関しても、目標に対してしっかり伴走してくれそうだなと思いました。
ー ありがとうございます!実際本番稼働させるまでの部分で、何かハードルに感じられたことってありましたか?
中川氏
やっぱり法律的なところなので回答の難易度が高いところですかね。
「今日の天気は何ですか」って聞くのと、「今こういうことに悩んでるんですけどどんな解決策がありますか?」っていうことに対する回答っていうのは全然違うじゃないですか。
あとは、最終的に「お問い合わせ」に結びつけるための施策として動かしているので、どうやってそこまで持っていくか、お客様のハードルや敷居をどうやって下げていくかというところがかなり難しかったですね。
ーそうですよね。まずはチャットで適切な回答が得られるのはもちろんのこと、ただ解決するだけじゃなくて、お問い合わせまで持っていくのが重要ですもんね。
中川氏
はい。でも実際ただ情報を知りたいだけ、という人は多いとは思うんですよ。
弁護士がお悩みを解決するようなメディアでも、情報を知りたいだけの人は99%くらいです。
それは一定しょうがないのですが、そんな中でも問い合わせした方がいいはず。というレベルの悩みを抱えている人が離脱してしまっているという状況を解消したいです。
ーまず適切な回答をするという部分では、いわゆるハルシネーションと言われている事実に基づかない発言をしていないかという部分で7つぐらいのリスクカテゴリーに分解して厳重にテストを重ねました。
両社の目線で事前テストをして、ここまでは許容できる範囲というところまで作り込み、まずトライアンドエラーで進めていきましょうという形で本番掲載に進みましたよね。
実際導入されて、反応はどんな感じでしたか?
中川氏
やはり回答としては作り込んだ部分が大きかったので、違和感ないものが多かったですね。
ただ難しいなと思うのは「問い合わせに結びつける」部分です。前例もないですしね。
ーなるほど。
私が一般人目線でテストをしていくと新たに学ぶ部分も多かったですね。
一つ例を挙げると、離婚に対してもエビデンスがあるなしによって進み方が違ったりとか。
意思も固まっていてエビデンスもあるのであれば弁護士にお願いした方がいいという回答をする場合もありましたし、まずは一度立ち止まって夫婦関係の見直しをするのもありなんじゃないかという回答もあったり。
中川氏
うんうん。僕が本当にやりたかったのは、『お客様からの問い合わせにはとにかく寄り添う』ということなんです。
弊社にもインサイドセールスがいるのですが、メンバーに日々口を酸っぱくして言っているのは、「マニュアル的な対応はするな。専門的な部分で答えられないのはしょうがない、ただ、その人の心情にはとにかく寄り添うように。」ということです。
ー 人の温かみ、みたいな部分ですよね。
今回東京スタートアップ法律事務所さんの学習データにはかなりこだわって作っています。
コミュニケーション品質を3つのレベルに分けていて、まずはレベル1の基盤工事として、一般的に『知識情報』と言われている公式サイトに公開しているようなコンテンツ情報を学習させました。
レベル2で社内のワークフローやマニュアルなどのいわゆる『ナレッジ情報』を学習させました。
最後に、まだユースケースは少なかったのですが、実際にインサイドセールスがしている中川先生が大切にされているような寄り添ったコミュニケーションを取っている会話データや音声データをいただいて、文字起こしをしGPT4にリライティングや要約をさせながら、学習データにインポートさせました。
そうした下準備をしたので、相槌などでいろんなパターンができるようになっています。
例えば、「祖父が亡くなったため遺産相続手続きをしたいです」という相談に対して、「大変お悔やみ申し上げます」のような返答ができるんです。
人間のように最初から最後までずっと温かみのある設計になるように、日々学習しながら接客を進めています。
中川氏
ありがとうございます。
先ほども少し話したように、弁護士事務所へ相談してもらうには『とにかくハードルを下げる』ところが重要だと思っています。
そこに対してAIチャットは、架け橋的な役割であることが一番意味があるのではないかと感じます。
実際に相談者さんと話すと、「こんなことで弁護士の先生にお時間いただいていいんでしょうか」と言われることも多く、むしろそんなことだから相談して欲しいのに・・・という気持ちにもなりますね。
ー なるほど。
AIチャットを開くためのバナー文言で、
①無料で相談する ②AIに相談してみる というテストをしました。
結果、②の「AIに相談してみる」が2倍ぐらいクリック率が高かったですよね。中川先生がおっしゃったハードルの部分はこの結果に現れているなと思います。
それ以外に「BOTCHAN AI」の導入前後で一番大きな変化はどんな部分でしたか?
中川氏
数字的なところでいうとメールでの問い合わせが圧倒的に増えましたね。
AIチャットで相談を受け付けた後フォームに遷移して事務所宛に問い合わせをいただくフローになっていますが、そこ経由のお問い合わせが、7.6倍になりました。結果CVにも繋がっています。
元々電話での問い合わせの量が多かったんです。本当に困っている時に焦って電話をされる方も多いですしね。
ー7.6倍!
電話ですと、事務所側の人的リソースやコストもかかりますよね。
中川氏
はい、そうですね。
あとはメールでの問い合わせですと、相談内容や困っていることが明確に整理されて書いていただいている方が多いので、その後のやりとりもかなりスムーズに進みます。両者にとって、円滑に解決できることはとても良いことですよね!
▼「東京スタートアップ法律事務所」 デモボット動画
ーおっしゃる通りですね。
コンバージョンが増えたという結果としてもとても良かったなと思うんですが、私の中で面白いなっていう部分が一つあって。
Webサイトに設置すると、当たり前ですけどコンバージョンする手前に会話が発生するじゃないですか。結果としてコンバージョンしなかったとしても、今までだったら目に見えない、いわゆるサイレントユーザーになってしまっていた方の生の声を聞ける部分にとても魅力を感じていますね。
中川氏
そうですね。何に悩んでいるのかだったり、なぜCVに至らなかったのかという部分も掘り下げて改善策を検討できますよね。
ー はい。新たな情報を追加学習したりクリエイティブを変更してPDCAをまわしたりなどできているので、少しずつでも前に進んでいるのが我々も嬉しいです。
最後にお聞かせいただきたいのですが、「BOTCHAN AI」は中川先生にとってどういう存在でしょうか?
中川氏
まずは、僕の頭の中にあったやりたいことができそうな気がして、今後の未来に期待が持てるプロダクトだなと思っていますね。
真面目な話をすると、世の中には法律問題に困っている人が溢れるほどいて、その中でも本当に困っていて弁護士に相談しなきゃいけないのにしておらず結果損をしている人も多いと思っています。
そんな人も恐らくですが「弁護士」というワードは浮かんではいたと思うんですよね。
でもやっぱりそこで何かハードルがあり、相談してみようと思えなかった。そういう方々を救っていけたら我々の市場も倍どころじゃないと思います。
そのハードルを下げるために必要なものは、やはりAIっていうものを使って弁護士へのアクセスの敷居を下げて、私でも相談していいんだと思ってもらうことですよね。それはお客様にとっても我々にとってもプラスなので、そうなったらいいなと思い、それらを叶える期待ができるプロダクトだと思います。
ー 嬉しいお言葉ありがとうございます。
少しでも救われる人が増える世の中になるといいですよね。
中川氏
そうですね。例えば離婚の養育費問題を例に挙げると、実際に子供が成人するまでの養育費の回収率は約2割ほどなんですね。離婚のタイミングのときにきちんと依頼をいただき公正証書にまとめて勤務先名などもしっかり把握しておけば、いざとなったら強制執行で回収できるんです。給与を差し押さえるみたいなこともできるので、シングルマザーの生活も絶対に改善されるはずなんです。
ー なるほど。そんなことができるんですね。
声なき声を拾い上げながら、弱き者を助ける範囲を広げていきたいという中川先生のお考えに賛同します。
最後に「BOTCHAN AI」の導入を迷っている企業さんに後押しとなるような一言をいただけますと幸いです。
中川氏
弁護士事務所に限らず、クリニックさんなどでも、相談するのにハードルを感じている方は思っている以上に多いです。
こんな質問はわざわざ時間をもらってすることなのかなぁと悩んでいたりするけど、みんな何かに困ってるんですよね。
そういう人こそ本来お客様になるはずの人だから、そこの敷居を下げるという意味でも、まずは試しに導入してみるのもいいんじゃないかなと思います。
ー ありがとうございます。
本日はたくさんのお話を伺わせていただきありがとうございました!
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
専門コンサルタントより返信いたします。