マーケティングにおける継続率とは?
計算方法や継続率をアップさせるアイデア

リピーターとは、商品やサービスを繰り返し利用してくれる顧客のことで、企業が継続的に売上を伸ばしていくためには不可欠な存在です。

このリピーターとの関係性を示す数値に、「継続率」があります。マーケティング業界にいれば、売上施策考案のために重要な数値として、聞いたことがある方も多いでしょう。

この記事では、

・継続率とは
・継続率の計算方法
・注意しておきたい5つのKPI
・取扱商品の種類別平均値
・継続率が上がらない原因
・数値改善のためのアイデア

などについて解説しています。

正しい定義や計算方法、対処法を知ることで、効果的にマーケティングに活かしていきましょう。

マーケティングにおける継続率とは

マーケティングにおける継続率とは、リピート率のことです。

リピート率とは、ある一定の期間内に取引のあった全顧客のうち、リピーターになった顧客の割合のことを指します。

現代の日本市場では、新規顧客獲得が以前より難しくなってきています。企業が成長を続けるためには新規顧客のリピーター化と、リピーターとの関係維持が大切なのです。

また、継続率を測定すると顧客満足度の動向も把握できます。企業がその時点で行っている取り組みが、顧客のニーズに合っているのかを分析し、導き出された結果から新たな施策を考案することも可能なのです。

こうした点から、マーケティングにおいて継続率を計測することは、企業運営において非常に重要であると言えます。

継続率を計算する際に必要な情報

継続率向上に役立つ指標として、リテンション率(顧客維持率)が挙げられます。特にアプリなどのサービスの場合、継続率と合わせてリテンション率を把握しておくことは大切です。

ここでは、継続率とリテンション率の関係性について解説します。

リテンション率は事前に把握しておこう

リテンション率とは、サービスの定着率を数値化したもののことです。

リピート率はあくまで「購入」ベースの数値ですが、提供するものがサービスの場合には、
「継続して利用しているか」という観点も重要となります。

リテンション率の計算式は

(一定期間終了時の顧客数-一定期間内に獲得した新規顧客数)÷期間開始時の顧客数×100

です。

リテンション率を改善すると、顧客との接点も増えるのでリピート率の向上にも効果的です。

継続率の計算方法

では、実際に継続率を計算する方法をご紹介します。
継続率の計算式は以下の通りです。

継続率=一定期間のリピーター数÷一定期間の新規顧客数×100

たとえば、2月の新規顧客数が100人で、そのうちの60人がリピートしてくれた(2回目も利用してくれた)としましょう。

この場合の継続率は、

60÷100×100=60

となり、維持率は60%であることが分かります。

エクセルを使った計算方法

取り扱うデータが膨大な場合、すべてを計算で行うと非効率です。
このような場合、エクセルのピボットテーブル機能を使うと簡単に維持率を計算できるので便利です。

具体的な算出方法は以下の通りです。

①エクセルに顧客データを蓄積する

算出する期間の顧客データをエクセルで集計します。

たとえば、A列に新規会員ID、B列に購入日を打ち込みましょう。以降の計算方法はこの様式で集めたデータをもとに行ったと仮定します。

②顧客の総数を計算する

空いているセルに、

=SUMPRODUCT((1/COUNTIF($A$●●:$A$●●,A●●:A●●)))

という関数を打ち込むと、新規顧客の総数が出てきます。
※必要なデータが入っているセルに応じて、A●●:A●●を打ち換えてください。

③リピーター数を計算する

さらに、同じく空いているセルに、

=SUMPRODUCT((1/COUNTIF($A$●●:$A$●●,A●●:A●●))*(COUNTIF($A$●●:$A$●●,A●●:A●●)>1))

と打ち込むと、新規顧客のうち2回以上リピートした顧客の総数が出てきます。

④継続率を算出する

出てきた数値を③÷②に当てはめて計算すると、継続率が計算できます。

継続率にかかわる重要な5つのKPI

継続率の改善を目指すとき、重要となるKPIは次の5つです。

・解約率
・オンボーディング完了率
・アップセル/クロスセル率
・LTV
・NPS

どれも、長期的な顧客との関係性の維持に関係する数値です。

それでは、これらの数値がどのように継続率とかかわってくるのかを見ていきましょう。

1. 解約率

解約率とは、取引がある顧客のうち一定期間内に解約した顧客の割合のことで、チャーンレートとも呼ばれます。

継続率の改善には、解約率を抑えることが重要です。

たとえば、年間100件の新規顧客を獲得している企業の解約率が40%だった場合の総顧客数を考えてみましょう。

年数新顧客数既存顧客数総顧客数継続率
1100人0人100人0%
2100人40人140人約28.6%
3100人56人156人約35.9%
4100人62人162人約38.3%

このように同じ解約率のままでも、一定期間運営を続けていると継続率は改善されていきます。しかし、1年目の解約率が40%、2年目が30%、3年目が20%と解約率が下がった場合はどうなるでしょうか。

年数新顧客数既存顧客数総顧客数継続率
1100人0人100人0%
2100人40人140人約28.6%
3100人97人197人約49.2%
4100人158人258人約61.2%

オンボーディング完了率2つの表を見比べると、解約率を押さえることが継続率の大幅改善に繋がっていることが分かります。

2. オンボーディング完了率

オンボーディング完了率とは、顧客が商品やサービスを正しく理解し、使用できるようになるまでの期間を指します。

オンボーディングの定義は企業によってさまざまですが、一例を挙げると、

・1ヶ月以内に初期設定が完了した
・2ヶ月以内に特定の機能の設定まで完了した

などが考えられます。

オンボーディング完了率は解約率との関係性が強く、オンボーディングが完了しない顧客は解約のリスクも高いことが分かっています。アプリをダウンロードしたものの設定が面倒で放置してしまい、利用しないまま解約した経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

オンボーディング完了率を向上させるためには、できるだけ契約直後にオンボーディングの状態に顧客を導くことが重要です。

3. アップセル・クロスセル率

アップセルとは、より高額な商品やサービスを利用してもらうことです。スマートフォンの機種変更を希望する顧客に、同じ携帯会社の最新機種をおすすめするのはアップセルの手法と言えます。

クロスセルは、購入したものに関係する商品やサービスを一緒におすすめして、顧客単価アップを図ることです。おもちゃ屋でレジ前に乾電池を陳列して、買い忘れ需要にアプローチする販売方法もクロスセルの一種です。

アップセル、クロスセルはむやみに行うとかえって顧客に不信感を与える原因となってしまいます。しかし、継続的な関係であるリピーターは新規顧客などに比べて商品やサービスの価値を理解してくれているため、アップセル・クロスセルの提案が行いやすいのです。

そのため、継続率が高ければ、アップセル・クロスセル率の向上も見込め、売上改善にも繋がると言えます。

4. LTV

LTVとはLife Time Valueの略で、日本語では「顧客生涯価値」と訳せます。LTVは、一人の顧客が生涯にわたって企業にどれだけ貢献するかを表すもので、顧客との長期的に安定した関係性を目指すためには非常に重要な指標です。

また、LTVが高いと企業は将来的に安定した利益を望めるため、安心して事業拡大に投資できます。企業が健全な成長を続けていくためには、LTVの向上が不可欠なのです。

LTVの算出にはいくつかの方法がありますが、その中でも基本的な式に、

平均購買単価×購買頻度×継続購買期間

があります。

継続率の改善は購買頻度や継続購買期間を上昇させるため、LTVに繋がるのです。

5. NPS

NPSとはNet Promoter Scoreの略で、顧客の企業での信頼や愛着の大きさを数値化したものです。

NPSの計測には、複数の顧客に対して「この商品(サービス)を知人・友人に勧める可能性を数字で表すと、1~10点のうちどのくらいですか?」という質問をします。このアンケート結果を集計することで、「顧客ロイヤリティ」がどのくらいなのかを判断できます。

ロイヤリティの高い顧客は簡単に他社商品に乗り換えたり、リピート利用を辞めたりはしません。そのため、NPSを計測して顧客ロイヤリティの向上を図ることが、継続率アップの施策にもなるのです。

継続率の平均は何%?|種類別にご紹介

継続率は高ければ高いほどよいとされます。

一般的に継続率の目安は30〜40%が平均とされていますが、取り扱う商品によって目安となる平均値は異なります。数値の目安を知っておくことで、継続率が低下したときに施策を講じるタイミングを判断できるのです。

ここでは、ECサイトでよく取り扱われている下記4つの商品について、継続率の目安とその理由を紹介します。

・化粧品、健康食品などの消耗品
・旅行予約サービス
・ファッション関連商品
・高額の電化製品

1. 化粧品、健康食品などの消耗品

化粧品や健康食品といった消耗品の継続率は約50%と言われています。

これらの商品は、お気に入りのブランドの商品を使い続けることが多いため、継続率の平均は高くなるのです。近年需要の高まっているペット用品や介護用品もこのジャンルに当てはまります。

2. 旅行予約サービス

旅行予約サービスの継続率は45%程度と、こちらも平均よりやや高めです。

こうしたサイトは一度会員登録すると、使い勝手の良さからリピートする顧客が多くなるようです。

3. ファッション関連商品

ファッション関連商品の継続率は約35%です。

このジャンルの商品を購入する際には、お気に入りのブランド以外にも複数の商品を比較して購入されます。そのため、継続率は上記2ジャンルの商品に比べて低くなります。

4. 高額の電化製品

テレビやパソコンといった高額の電化製品の平均は25%程度です。

これらの商品は単価が高いだけでなく、そもそも買い替えの頻度が低いため継続率は低いのです。

理想的な継続率の目標値を設定する方法

では実際、自社で継続率の目標値を設定する場合、どのようにすればよいのでしょうか。

ここでは取扱商品を特定せず、平均値を参考にした目標値の設定例を説明します。

継続率の平均値は30~40%なので、商品やサービスの販売開始時には少し低めの25~40%を目標とします。

定期購入などによくある、「トライアル(おためし)キャンペーン」などを行う場合は、キャンペーンにかかるコストも加味し、30~35%と少し割合を高く設定します。

さらにこうしたキャンペーンを行わないときは、本商品で新規顧客獲得を目指すので、さらに高い継続率が必要になります。この場合、40%程度の継続率は維持したいところです。

トライアルの必要性の有無やトライアルの内容から目標値を設定するために、事前にA/Bテストを行うのもよいでしょう。

継続率が上がらないときに考えたい3つの原因

継続率向上の施策を講じる場合、まずは現状把握を行いなぜ数値が改善しないのかを考える必要があります。

継続率が上がらない理由としては次の3点が挙げられます。

・商品やサービスの品質に問題がある
・フォロー体制やアフターサービスに問題がある
・忘れてしまっている

それでは順番に見ていきましょう。

1. 商品やサービスの品質に問題がある

商品やサービス自体に問題がある場合、顧客はリピート買いすることなく他社商品へ流れていってしまいます。

たとえば、品質と価格が合っていない、広告内容と実物に違いがある、顧客ニーズに合っていないなど、さまざまな場面で問題が発生している可能性があります。

2. フォロー体制やアフターサービスに問題がある

たとえ商品やサービス自体に問題がなくても、それに付随するフォロー体制やアフターサービスに問題があると、顧客は不満を感じリピートしてくれなくなります。

アフターフォローや問い合わせ時の対応など、購入後のコミュニケーションに問題があると、顧客と長期にわたり友好的な関係を築くにあたって支障が出てしまうのです。

3. 忘れてしまっている

商品やサービスの品質やフォロー体制などに問題がない場合、顧客が購入品のことを忘れてしまっている可能性も考えられます。

色々と悩んで購入を決めた場合でも、同じような商品で溢れかえっている現代では、顧客が商品やサービスのことを忘れてしまっているケースは少なくありません。

継続率をアップさせるための10のアイデア

では、上記の原因に対して考えられる施策にはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは具体的なアイデアとして、次の10点をご紹介します。

・データ活用をして顧客の動向を把握する
・メルマガ、DMなどを利用し忘れられない工夫をする
・会員制度を導入し、顧客の帰属意識に訴える
・クーポン配布などで再購入を促す
・定期購入制度を導入する
・カスタマーサービスを充実させる
・新商品の開発や、既存商品の改善を行う
・解約を防ぐ仕組みを作る
・オンボーディングしやすい環境を作る
・ローンチ前にテストを行う【アプリの場合】

それぞれの目的と方法を確認し、自社の継続率アップ施策の参考になさってください。

1. データ活用をして顧客の動向を把握する

継続率の改善を目指すなら、まずは顧客とのコミュニケーション時などに蓄積したデータを活用し、顧客の動向やニーズを分析しましょう。

正確な顧客理解を進めることで、適切な施策が考案できます。取り扱うデータが膨大な場合は、ツールを利用するなどして分析のミスを減らし、正確性を上げる工夫も必要です。

2. メルマガ、DMなどを利用し忘れられない工夫をする

メルマガやDMなどを使って定期的なコミュニケーションをとり、顧客に忘れられない工夫をすることは大切です。

この場合、送る内容とタイミングには注意しましょう。

メール内容があまりに販売色の強いものだと、顧客は不信感を覚え、逆に心が離れてしまう恐れもあります。新商品やセール情報、季節の話題や豆知識などの色々な角度からの情報提供で顧客の興味を引き、商品の価値を理解してもらうように心がけましょう。

また、あまりに何度もメールを送ってしまうと「しつこい」「必要ない」といったイメージを持たれてしまいます。顧客データを分析し、適切なタイミングでコミュニケーションをとるようにすることも大事です。

3. 会員制度を導入し、顧客の帰属意識に訴える

会員制度を導入することで、顧客の帰属意識に訴えるという方法も有用です。

会員制度とは特定の顧客を優遇する制度のことで、会員限定でセール情報の提供や限定クーポンの配布、誕生日プレゼントなどの特典を付与します。また、ポイントアッププログラムを導入し、段階的に優遇の度合いを徐々に高めていく方法もあります。こうすることで会員登録した顧客に帰属意識を与え、顧客ロイヤリティを高めるのです。

4. クーポン配布などで再購入を促す

最初の購買行動があった時点で、次回の訪問や再購入を促す工夫をしておくことも重要です。

ECサイトで買い物をしたとき、次回以降使える割引クーポンを付与されたことはありませんか?

このように接点があったタイミングで次のアクションに繋げる施策を行うことも、継続率向上には効果的です。

5. 定期購入制度を導入する

定期購入制度を導入することも、継続率の改善に効果的です。

定期購入制度とは、サブスクリプションなどによく見られるスタイルで、あらかじめ契約しておくことで商品やサービスを定期的に自動購入できる制度のことです。

6. カスタマーサービスを充実させる

カスタマーサービスの充実は、顧客満足度を高める観点から、継続率アップに有効的であると言えます。

もし顧客が商品やサービスに不満や疑問があったとしても、カスタマーサービスの対応次第では、「聞いてよかった」「信頼できる」と思い、次回の購入にも繋がることがあります。反対に顧客対応に時間がかかったり役に立たなかったと判断されれば、顧客の心は離れていってしまうでしょう。

カスタマーサービスの教育やチャットボットツールの導入などで、十分な顧客対応ができる体制作りを目指しましょう。

7. 新商品の開発や、既存商品の改善を行う

アンケートや口コミなどから得られる顧客の声を参考にした新商品の開発や既存商品の改善を行い、顧客が不満に感じていた点を解消することも重要です。顧客のニーズに合った開発や改善は、新規顧客獲得にも繋がります。

また、顧客の意見がきちんと届いているとアピールすることで、企業に対する信頼度や顧客の帰属意識が増します。

8. 解約を防ぐ仕組みを作る

継続率を向上させるためには、顧客が解約するか迷ったときに適切に繋ぎとめられる仕組みを事前に作っておくことも大切です。

定期購入の解約受付を、電話からのみにしてハードルを上げておくこともアイデアのひとつです。また、購入頻度を自由に変更できるようにすれば、手元に商品が余ってしまったときにもすぐに解約の判断をする必要がなくなります。

解約を防ぐツールを利用することも効果的です。

たとえばBOTCHAN Keeperを利用すれば、チャットボットによるコミュニケーションのなかで顧客の解約を思いとどまらせることも可能です。

9. オンボーディングしやすい環境を作る

前述の通り、オンボーディング完了率は解約率の改善に繋がります。特にアプリなど、初期設定が必要なサービスでは重要です。

オンボーディングしやすい環境とは、シンプルな操作で完了すること、視覚的な工夫をし分かりやすいビジュアルにすることなどがあげられます。

このような環境を整え、できるだけ初回利用時(ダウンロード時)にオンボーディングを完了できるように工夫しましょう。

10. ローンチ前にテストを行う【アプリの場合】

アプリに特化したアイデアとしては、ローンチ前に特定の顧客を対象にいくつかのテストを行い、実際の反応をもとにアプリの完成度を高めることも効果的です。

たとえばベータテストを行い、アプリ内にバグなどの問題がないかチェックしておくことは重要です。また、ソフトローンチ(地域限定リリース)を行って、広範囲の地域でローンチした際の効果を予測することもできます。

まとめ

継続率は、一定期間に獲得した新規顧客数のうちリピーターになった顧客数の割合の事です。そして継続率はいわば「顧客が商品やサービスに満足しているか」を確認する指標になります。

継続率を向上することは、事業の成長にも繋がります。高い継続率を維持できれば安定的な利益が見込め、成長戦略に投資できるからです。 そのため、企業は顧客とのコミュニケーション機会を増やしたりなど、改善施策を行う必要があります。

また、継続率を向上させるためには顧客ニーズを把握した上で、解約防止を仕組み化することが重要になります。

上記の点を重視し、マーケティングに活かしていきましょう。

「BOTCHAN Keeper」は継続率の改善にコミットします

BOTCHAN Keeperは解約希望顧客に寄り添いLTV最大化を実現する、新しい「解約防止のチャットボット」です。 インタラクティブなコミュニケーションを通じて、顧客の解約理由や本音を引き出します。そして顧客の課題に対し、解決策を提示することで解約防止を可能にします。また、解約インサイトを理解・分析できるレポート機能を活用することで、抜本的改善に役立てることができます。

最終的に解約に至ってしまった場合でも、顧客情報を自動化することができるので、解約処理にかかる人的コストを削減します。

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