売り上げアップのためには、新規顧客の獲得だけではなく、リピーターを増やすための施策が欠かせません。事業やサービスを運営する人のなかには、リピーターが増えないと悩む人も多いのではないでしょうか。
リピーター獲得には様々なメリットがあり、事業拡大にも大きく貢献します。
この記事では、リピーター獲得のメリットや顧客がリピーターになる要因、そして獲得のためにどうしたら良いかを解説します。
目次
リピーター獲得は売り上げアップの近道
売り上げアップを目指すのであれば、リピーター獲得に注力することがおすすめです。まずはその理由と、顧客の状態に応じた3つの段階について紹介します。
顧客状態には3つの段階がある
顧客状態は、以下の3段階に分けられます。
・一般客
・流行客
・優良客
一般客は購入頻度の低いユーザーを指します。新規顧客も一般客に含まれます。
流行客は、セールやキャンペーンといったタイミングで購入に至ります。継続的なリピーターと違い、一時的なユーザーであることが特徴です。
価格や割引率が購入のきっかけとなっているため、単価が高額であっても利益率は低めとなることが多いです。
そして、何度も購入してくれるリピーターが優良客となります。既存客のなかで優良客の割合は多くありません。しかし、売り上げの大部分は優良客が占めるため、1番大切にしたい顧客層です。
なぜリピーター獲得が必要?
パレートの法則では、顧客の2割が売り上げの8割を生み出していると言われています。つまり、何度も購入してくれる優良客は、企業やブランドの売り上げを支えてくれる存在だということです。
優良客は、定期的に購入してくれたり購入単価が高かったりと、売り上げに大きく貢献してくれます。そういった優良客を増やすことが、売り上げアップにつながります。
最初は誰しもが新規顧客ですが、そこからリピーターとなり、優良客になってもらえるかどうかが重要なポイントです。そのため、まずはいかにリピートしてもらえるかを考えましょう。
リピーター獲得のメリット
ここからは、リピーター獲得の具体的なメリットをお伝えします。
集客コストの削減
一般的に、新規顧客を獲得するためには、リピーターの5倍のコストがかかると言われています。
新規顧客を獲得するためには、まずは商品やサービス、店舗の存在を知ってもらうことから始めなければなりません。一度購入に至っている場合は、すでに認知されているため、その分の集客コストを大幅に削減できます。
そして、一度購入に至った時点で顧客情報を入手しているため、個別にアプローチできる点も大きなメリットです。購入に至った商品やサービスを起点として、2回目以降の購入につなげましょう。
売り上げの安定化
事業継続のためには、売り上げアップはもちろん、売り上げを安定させることも重要です。許容範囲を超えて落ち込むことがないよう、リピーターを獲得して売り上げの底上げを目指しましょう。
優良客となったリピーターは、定期的に購入して売り上げを支えてくれます。自社に対して好感を持ってくれているため、購入に対して前向きであり、購入頻度や購入単価も高い水準を望める点もリピーターのメリットです。
新規顧客を集客し続けることも重要ですが、それだけではいつか頭打ちしてしまいます。リピーターを獲得すれば、売り上げの基盤となってくれるでしょう。
口コミによる新規獲得
リピーターは、商品やサービス、店舗に好感を持っています。さらにその愛情が深まってファンとなってくれれば、リピーター自身が自社にとっての広告塔となってくれるでしょう。
リピーターが身近な人に商品やサービス、店舗の良さを拡散してくれれば、それをきっかけに新規顧客の獲得が期待できます。
飲食店などの実店舗であれば、リピーター自身が新規顧客を連れてきてくれる可能性も高いでしょう。そしてそれをきっかけとして、新規顧客が新たなリピーターになってくれるかもしれません。
ECサイトにおいては、口コミやレビューが第三者の購入意欲に大きな影響を及ぼします。自社のファンとなったリピーターがレビューを投稿してくれることが、新規顧客の初回購入を後押ししてくれるでしょう。
LTVの向上
リピーターを獲得すると、LTV(顧客生涯価値)の向上に繋がることもメリットの1つです。
LTVとは、「Life Time Value(ライフ・タイム・バリュー)」の頭文字をとった言葉で、1人の顧客が生涯にわたってその企業にもたらす利益を表す指標です。
リピーターを獲得し、LTVを向上させることで、営業コストを抑えながら利益を上げることができます。
LTVの向上は、安定して継続的に利益を出すことや、経営効率アップに大きく影響するので、重要視しましょう。
LTVを向上させるための施策は様々ありますが、その中でもチャットボットの活用がお勧めです。
LTVやLTVの向上施策について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください↓
リピーター獲得につながらない理由
リピーターの獲得は簡単ではありません。しかし、リピーター獲得につながらないことには、明確な理由があります。
まずは、リピーター獲得につながらない理由を確認してみましょう。
サービスに不満を感じた
リピーター獲得とならない大きな理由は、顧客の求めるものを提供できていないからです。基本的なことですが、商品やサービスに対する不満があった場合はリピーターとはならないでしょう。
ただし、顧客が不満を感じるのは商品やサービスに対してだけとは限りません。
商品やサービスに対しては十分に満足していても、スタッフの対応や配送サービス、支払い方法といった点に不満を抱いているケースもあるでしょう。
その場合は、サービスを改善すれば、2回目以降の購入につながる可能性も十分にあります。
リピーター獲得に向けた集客をしていない
ただ待っているだけでは、なかなかリピーター獲得には至りません。リピーター獲得に向けて、そのための集客を行うことが重要です。
顧客が商品やサービスに悪い印象を抱いた場合、リピーターとならないのは当然のことです。しかし、良くも悪くも印象に残っていないケースでも、リピート購入にはつながりません。
商品やサービスの検討時に候補の一つであるためには、まずはサイトや店舗の存在を思い出してもらう必要があります。
初回購入後のアフターフォローやメルマガ、DMでの働きかけなど、リピーター獲得のための施策を取り入れましょう。
顧客がリピーターになる理由
続いては、顧客がリピーターになる理由を紹介します。新規顧客からリピーターとなる理由を押さえておけば、再現性のある施策を考案できるでしょう。
接触回数が多い
リピーターになってもらうには、サイトや店舗を思い出してもらう必要があるとお伝えしました。接する機会が増えると親近感を抱いてもらいやすく、顧客との距離が縮まることが期待できます。
何度も目に触れたり接したりすると、対象に対する警戒心が薄れて良い印象を抱くようになることを「ザイオンス効果」と言います。
営業の担当が何度も顧客のところに足を運ぶのも、ザイオンス効果に従えば合理的な行動です。
Webサイトや店舗の場合、自分から顧客に会いに行くことはできません。そのため、いかに思い出してもらうか、接点を増やすかといった施策が重要です。
顧客との接触回数をどのように増やすかを考えてみましょう。
訪問する価値を感じる
顧客に印象を残す方法としては、予想を上回る商品やサービスを提供することが重要です。顧客が感動するようなユーザー体験こそが、ファン化への第一歩だと言えるでしょう。
しかし、顧客にとっての感動ポイントを「価格」だけ見出してしまうと、優良客ではなく流行客ばかりが集まってしまいます。競合店との価格競争になると、売り上げが伸びたとしても利益が大幅に下がりかねません。
さらに、価格に惹かれる流行客は、価格競争に負けると去ってしまいます。
顧客が何度もサイトや店舗に訪問する理由となる自社の価値は、価格以外のところで見つけましょう。自社でしか提供できない特別なものがあれば、そこに感動が生まれます。
顧客をいかに喜ばせるかを基準に、考えることが重要です。
リピーター獲得の方法
それでは、具体的にはどういった方法でリピーターを獲得すれ良いのでしょうか。ここからは、リピーターの獲得方法を紹介します。
新規顧客の共感を得る
新規顧客の共感を得ることは、2回目、3回目の購入につながります。共感してもらうのは、商品やサービスのコンセプト、企業理念といった根本的な部分です。
例えば「肌への優しさにこだわり、オーガニックコットンで作りました」といったコンセプトがあれば、同じタオルであっても受ける印象は異なります。
敏感肌で悩んでいる人であれば、オーガニックコットンのタオルに惹かれるでしょう。同様に、企業理念に共感し、この企業の商品を購入したいと考える顧客もいます。
商品やサービスに対するこだわりや想いは、きちんと伝えることで共感を得られるケースがあります。購入のきっかけにもなり得る部分ですので、しっかりアピールしていきましょう。
特別扱いをする
リピーターを特別扱いすることも、リピーターを獲得するのに有効な方法です。リピーターをお得意様として特別扱いすることで、リピーターに満足してもらえます。
そして、新規顧客にリピーターとなった場合のメリットを効果的に伝えられるでしょう。
購入者限定セールの開催や誕生日クーポンの配布など、特別感のあるサービスやイベントを用意するのが効果的です。
逆に、新顧客向けの割引クーポンしか用意されていないと、リピーターとなるメリットが感じられず、リピート購入する理由が一つ減ってしまいます。
何度も購入してくれるリピーターにこそ、より感謝の伝わるアプローチを実施しましょう。
定期的な訪問・購入を促す
リピーターは商品やサービス、店舗に多少なりとも好感を抱いているため、きっかけがあれば購入に至りやすいでしょう。そのためには、店舗側からの働きかけで定期的な訪問や購入を促すことが大切です。
具体的には、初回購入時に、次回購入時に使えるクーポンを配布したり、フォローメールや定期的なメルマガを配信したりといった働きかけが有効です。
メルマガを送る場合も、特定の商品を購入した人をセグメントすることで、顧客にとってより有用な情報を提供できるでしょう。
商品到着後1週間や購入後1カ月など、リピートにつながりそうなタイミングで定期的にフォローメールを送信することも重要です。
購入者の声を聞く
顧客からのクレームや要望は、リピーター獲得につながる大きなチャンスです。顧客からのクレームは、これを解決できればもっと良くなるというアドバイスだと考えましょう。
基本的には、クレームを店舗に伝えず、そのまま去ってしまう顧客が大多数です。クレームを伝えてくれるということは、改善できれば優良客になってくれる可能性があります。
クレームに対して誠実に対応し、改善に努めましょう。
また、商品やサービスに対する感想や質問にも、改善のヒントがたくさんあります。商品やサービスの強みや改善点を見つけるために、購入者の声を積極的に集めましょう。レビュー投稿をお願いするフォローメールも有効です。
コミュニティを作る
購入者同士が意見交換できるコミュニティがあれば、リピーター同士がつながり、より自社に対する愛情が深まるでしょう。
商品やサービスに対する質問にユーザーが答える質問コミュニティでは、商品やサービスを愛用するファンが多く見られます。
購入者から商品の使い方やアレンジ方法、使った感想を募集することも、購入者同士のつながりの一例です。SNSで情報を共有してもらうなど、様々な方法が考えられます。
リピーター獲得の成功事例
最後に、企業が具体的にどういった施策を行っているのか、リピーター獲得の成功事例を紹介します。
東京MEAT酒場 吉祥寺店
東京MEAT酒場 吉祥寺店では、顧客側の感情や要望をくみ取れるスタッフ育成を心掛けています。
例えば、初めての飲食店では、顧客は何が店の売りなのか分からず注文に悩むでしょう。そういった場合に、先回りして何を頼めば良いかを提案します。
この顧客のことを考えた提案が感動体験となり、リピーターとしての来店につながります。
店舗の姿勢が顧客の満足度を向上させている事例です。
株式会社プラスワンインターナショナル
オリジナルTシャツの制作を行う株式会社プラスワンインターナショナルは、効果的なメール配信でリピーターを獲得しています。
運動会や文化祭といった需要が高まるタイミングでメールを配信し、常に需要があるわけではないオリジナルTシャツのリピート購入につなげています。
メール配信の時間帯を、昼休みに確認できる12時に設定しているのもポイントです。
エクセレントメディカル
エクセレントメディカルは、顧客リピーター化に強いカートシステム「楽楽リピート」を利用して顧客のリピーター化を図っています。
顧客が荷物の箱を開ける瞬間を大切にしており、特定の商品を購入した顧客に最適なチラシを同梱し感動を作り上げます。
同梱物とフォローメールに注力することで、なるべく広告費をかけずにリピーター獲得に努めている事例です。
リピーター獲得が売上アップの近道
リピーターを獲得できるにもできないにも、何かしらの理由が存在しています。リピーター獲得につながる理由を伸ばし、獲得できない理由を改善していくことで、今以上にリピーターを獲得できるようになるでしょう。
リピーターを獲得できれば、売り上げを伸ばし安定させることが可能となります。リピーター獲得は、事業継続において重要な施策でもありますので、しっかりと時間を割いていかに工夫するかを考えましょう。