ECサイトを利用する上で、一体なぜカゴ落ちやカート放棄が発生してしまうのでしょうか?
実は、Baymard Institute社の調査によると、ユーザーの約7割が「サイトを回遊していただけ」「今はまだ買う準備はしていなかった」など、さまざまな理由がありサイトから離脱しているという調査結果が出ています。
そこで今回は、カゴ落ちの原因についての解明、カゴ落ち率を改善する方法についての対策などを徹底解説いたします。
目次
カゴ落ちとは
ECサイトにおけるカゴ落ちとは、別名「カート放棄」とも呼ばれており、ECサイトに訪れたユーザーが「商品をカゴに追加」「カートに入れる」などのボタンを押し商品をカートに入れたものの、決済を完了する前にサイトから離脱してしまうことをいいます。
現在では、チャットサポートと言う接客ツールもあり、スマートフォン・パソコンから閲覧中のWebページ内にあるチャットボタンをクリックするだけで、リアルタイムにWebサイト運営者側と24時間365日顧客対応が可能になっています。
ネットショップの売上をアップさせる要因の中でも、購入率(CVR)を大きく左右する部分なので、重要な改善ポイントとして注目すべき部分です。
知っておきたいカゴ落ち率の平均値
1度はカートのカゴに入れるため、ユーザーはある程度商品に対し購入意欲はあると考えられます。しかしながら、カゴ落ちするのは、なんらかの理由で購入までは至らなかったということになります。
Baymard Institute(アメリカ)の調査資料「41 Cart Abandonment Rate Statistics」によると、世界のECサイトのカゴ落ち率の平均値は「69.80%」というデータが出ています。
(引用:https://baymard.com/lists/cart-abandonment-rate)
これはおよそ7割近くの訪問者が、ネットショッピングをする中で商品を購入せずカートを放棄し、ECサイトから離脱してしまっているということを表します。
約7割のカゴ落ちユーザーをすくいあげることができたなら、どれほど自社ECサイトの売り上げへと貢献するでしょうか?
また、株式会社イー・エージェンシー(日本)が行った「ECサイトのカゴ落ちによる機会損失状況の調査」によると、ネットショップの機会損失額は平均して売上の約2.5倍にのぼることがわかりました。
(引用:https://www.submit.ne.jp/cartrecovery/news/20190604 )
カゴ落ちを「機会損失」ととらえるなら、カゴ落ちの金額は売り上げの約2.5倍にも上る可能性があります。
カゴ落ち率とは、サイトの訪問者に対し、商品を購入せずに離脱してしまったユーザー数のことを指します。
まず、大切なのは、自社サイトでどれだけカゴ落ちが発生し、どれくらい機会損失しているかを把握する事です。
カゴ落ち率を計算する際に必要な数値は、
・特定期間中に訪れたユーザーの総数
・特定期間中にCV(成果)に至ったユーザー数
2つの数値を用いてカゴ落ちとなってしまったユーザー数を計算します。
これは、月商500万円のショップの場合、およそ約1250万円の機会損失が発生していることになります。
カゴ落ちが起こる理由
カゴ落ちは、何かしらの理由があり発生しています。適切な対応をするにあたり、原因は何なのか?なぜカゴ落ちが起こるのかを理解する必要があります。
ジャストシステムの調査では、「送料や手数料が高かった」ことが、カゴ落ちの最も大きな理由です。
(引用:https://markezine.jp/article/detail/30377)
原因として決済画面では、本体価格に加え手数料、消費税や送料などが追加で表示され、購入直前で知らされ想定外の費用がかかり離脱してしまうユーザーがBaymard Institute社の調査によると55%いるとのことでした。商品以外にかかる費用の説明がわかりづらいのも原因の一つです。
代表的なカゴ落ちの原因は下記です。
・購入するまでに手間がかかる
・複雑でわかりにくいため
・購入るすのにアカウント登録が必要だったため離脱した
・個人情報を入力できるほど信用出来なかったため
・原因不明のエラーが起こるサイトが重かったための離脱
・疑問や不安が解決出来ず離脱した
・そもそも購入する気がなかった
このようにカゴ落ちの理由には、サイトの使い勝手から購入や支払いの手続きに関わること、サイトの信頼性に至るまでさまざまなものがあります。カゴ落ちを防ぐには、これらの課題を一つひとつ改善していく必要があります。
カゴ落ちを防ぐ8つの対策
カゴ落ちを防ぐ対策には、ユーザー使いにくさを解消し、サイトを改善する取り組みが必要です。できることから検討を始めていきましょう。
送料、手数料は、可能であれば無料の方が購入につながりやすくなる
扱う商品にもよりますが、Barilliance社の調査によると、73%のユーザーが購入を決める前に「送料無料」であることが重要だと答えています。
送料無料が望ましいですが難しい場合には、購入手続きの前に送料・手数料がいくらなのかを明確にしユーザーに知らせます。事前に知らせておけば、途中で送料が理由で手続きをすることをやめたり、保留にすることはなくなります。
もう一つは、送料を知らせる前に「◯◯円以上買うと送料無料」というような特典などがあると購入額のアップにもつながるでしょう。
競争力が失わないような価格設定ができるのであれば、送料込みの価格を表示してみるのも良いです。
基本的には、売上が上がるサイト=お客様にとって親切なサイトであり、消費税や送料などのコストを早めに伝える、ユーザーにとって使いやすいECサイト作りを目指しましょう。
購入までのステップはなるべく少なくする
サイトに来た半数以上が会員登録の段階で挫折し、離脱する傾向があります。
一般的なECサイトであれば購入までに
・カートをクリック
・お届け先入力
・支払い状況を入力
・確認画面
・完了画面
というステップを踏む必要があります。
たとえば、入力する情報が多いなどの購入までのプロセスが長くて時間がかかりすぎてしまうと、結果的にカゴ落ちにつながってしまいます。
急いでいるユーザーは、決済前にアカウント登録が必要だとやめてしまうことが多々あり、ビジターとしてアカウント登録をせずに一度だけの購入が利用できるように、サイトの設計を変えた方が良いでしょう。
購入手続きの際に使った情報をそのまま使ってアカウント登録ができるようにしておけば、購入とアカウント登録が同時にできるので便利です。
リピーターの方が何度も入力する手間を回避するために、発送先や請求先の住所などをアカウント内から読み込めるようにしておきましょう。
決済方法の選択肢を増やす
希望する決済方法が見つからない場合、約70%の顧客が離脱すると言われています。支払い方法の選択肢がなければ、ユーザーが使いたい方法がないという理由でカゴ落ちしてしまうのです。
クレジットカードでの支払いポイントがもらいたい、便利なキャリア決済で支払いがしたい、銀行振込がいいなど、支払い方法にこだわるユーザーは数多くいます。
利用率の高い決済方法として、クレジットカード決済、後払い決済、代引き決済があげられます。そのため、サイトからの流出を防いで売上アップをするためにも、この3つの決済方法は導入した方が良いでしょう。
クレジットカードで限定してしまうECサイトもありますが、それだけではなくコンビニ支払い、電子マネーなど、決済方法にできるだけ多くの選択肢がある方がさまざまなユーザーの要望に対応できます。
カゴ落ちフォローメールなどを使いお客様にアプローチする
一度は気に入った、またはその時は手持ちがなかったためにカート放棄が行われているケースが多いです。再度お客さまにアプローチをすることが効果的です。
例えば、カートリカバリーのようなカゴ落ち対策専門のMA(マーケティングオートメーション)ツールを使って、カゴ落ちしたお客さまにメールを自動配信することでショップへ呼び戻し、売上につなげるといった方法があります。
送料無料にするなど追加費用を極力減らす
たとえば「送料無料」を導入するなど、理想はお客様にとってコストになる費用を減らすのも一つの手段です。しかし、単純に費用を削ってもショップの売上や利益に影響してしまうため、導入が難しい場合もあるでしょう。
そのため、
- 送料をなくすのが難しい場合は、あらかじめサイト上に追加費用(送料や手数料)をわかりやすく表示する
- 送料をなくすのが難しくても、可能な限り送料を下げる
- あらかじめ送料込みの商品代金を設定し、送料無料と表示する
などを検討してみてください。
「会員登録なしでも購入できるようにする」「会員登録方法を簡単にする」
一番の解決方法として、会員登録なしでも購入できるようにすることが挙げられます。
しかし実現が難しい場合は、お客さまの心理的ハードルを越えられるよう「会員登録のメリット」や「なぜ登録する必要があるか」などを、きちんと伝えられるような導線を作っておきましょう。また、その際に会員登録フローを簡略化し、登録しやすいようにしておくことも大切なポイントです。
「購入フローを簡略化する」「入力を省ける決済サービスなどを導入する」
お客さまの情報入力の負担を、できるだけ減らせるように改善しましょう。
そのためには、
- 購入フローのページ数を減らす(入力フォームを1つにまとめるなど、ページをたくさんまたがせない)
- 入力しやすいデザインにする(幅や色合い、余計なバナーを入れないなど)
- Amazon Payなど、個人情報を新たに入力しなくても購入できる決済サービスを導入する
などの改善に取り組んでみましょう。
セキュリティ対策をへの取り組みをサイト上でも表示し安心感を与える
クレジットカードの情報を入力したくないなどのユーザーは多く、このような理由で購入をやめてしまうといった「サイトを信用できないことに起因するカゴ落ち」を抑えるには、ユーザーの心配不安を減らすことが大切です。
SSLというECサイト訪問者のブラウザとサーバー間のデータ通信を暗号化する技術があり、個人情報を入力するページをSSL対応にすることで、サイトの安全性を証明する「SSL証明」を取得し、リンク切れなどはすぐに修正することで、サイトの安全性をアピールしましょう。
アドレスバー(URL)にそのウェブサイトの運営組織が表示され、緑色に変化することで安全性をアピールできるEV認証といった高度なSSLサーバ証明書なども取得し、サイトの信頼性を高める方法もあります。
カゴ落ち対策は顧客サービスにもつながる
カゴ落ち率改善は理由を把握し対応することが大切
ECサイトを利用されるユーザーのために、自社側でカゴ落ち対策を行うことは、自社の利益向上だけでなく、ユーザーへの顧客サービスの充実へとつながり、結果的に顧客満足度の向上を促します。
顧客の利用しやすい環境を構築することで、ネットショッピングをするならココという最寄りの店として認知してもらえるだけでなく、買い物をする頻度の増加にもつながり、双方にとってwinwinの関係が築けるのです。
なぜカゴ落ちをするのか、それはユーザーの動向を詳しく分析することで把握することができ、ときには利用後にアンケートを実施するのも有効な手段となります。
カゴ落ちするのには理由があり、カゴ落ち対策を徹底的に行うことで、客単価向上や複販へとうまく誘導することも可能です。