LTV分析のメリットとは?算出方法とマーケティング活動に必須のCPA改善方法

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)分析は、近年多くの企業が取り入れているマーケティング手法です。注目度の高い手法なだけに、自社での導入を考えている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、以下の点について解説しています。

・LTV分析のメリット
・LTVの算出方法例
・CPA(Cost Per Action:顧客獲得単価)の改善方法
・LTV向上のポイント

LTV分析の導入を考えている方や、活用方法がいまいちピンとこない方はぜひ読んでみてください。

LTV分析とは

LTV分析とは、LTVを算出・分析する手法のことです。1人の顧客が、自社の商品やサービスをどのくらい購入・利用したのかを表す指標を指します。

経済が成熟し、各市場が飽和状態になりつつある現代において、これまでのような新規顧客獲得は困難になってきています。そのため企業は、既存顧客との関係をより友好的なものに高め、長期的な関係性を維持していくことにより注力するようになりました。

マーケティングにおいて、「1:5の法則」というものがあります。この法則は、新規顧客獲得にかかるコストは、既存顧客維持のコストの5倍もかかるという意味です。既存顧客の維持、または関係性の向上は、企業が安定的な成長を続けるために不可欠なのです。

LTVは、長期間にわたっての顧客との関係性を見極めるために重要な指標です。LTV分析では、「売上」や「期間」などの変数からLTVを数値化し、現在の顧客との関係性の状況や経時的な推移の様子、今後の見通しなどを分析します。

LTVを算出・分析するメリット

LTVを算出・分析するメリットは、以下の3点です。

・少ないコストでの増収と経営の安定化を目指せる
・算出方法を使い分けるとさまざまな課題解決に繋がる
・優良顧客の可視化ができる

いずれも、企業経営の根幹に関わるようなメリットと言えます。これらを見ても、LTVが健全な企業経営においていかに重要かが分かるのです。

少ないコストでの増収と経営の安定化を目指せる

LTV分析を行うことで、少ないコストでの増収と経営の安定化が目指せます。

上で紹介した「1:5の法則」でも分かるように、新規顧客の獲得には高いコストがかかってしまいます。つまり、新規顧客ばかりに注力していてはコストばかりがかさみ、かえって経営を逼迫する恐れもあるのです。

LTV分析を行い、LTV改善のための施策をうつことで既存顧客との関係維持・向上ができます。既存顧客との関係維持は新規顧客獲得ほどの高いコストがかからない上に、長期的で安定した利益を見込むことができます。

そのため、LTV分析を行い施策を講じることで、少ないコストで収益アップと企業の安定した経営が可能になるのです。

算出方法を使い分けるとさまざまな課題解決に繋がる

LTV分析は、それぞれの課題を「売上」「頻度」「期間」といった、いくつかの定量的な指標と関連づけて行われます。しかし、各課題は業態や注視したい事項によって違うので、算出方法も異なってきます。

つまり、算出方法を使い分けるとさまざまな課題解決に応用できるのです。

たとえば、顧客管理コストに課題があるのではと感じている場合、LTVから顧客管理コストを引くことで数値として適正か否かを判断することができます。

また、サブスクリプションビジネスにおけるLTVでは解約率が大きな影響力を持っています。そのため、健全な企業経営のためには解約率を注視する必要があると分かるのです。

いくつかのLTV算出方法については下の項目でも解説しているので、合わせて参考になさってください。

優良顧客の可視化ができる

企業に対して大きな利益をもたらしてくれる顧客のことを、優良顧客といいます。LTV分析を行うと、どのような客層の顧客が最も自社に利益をもたらしているかが分かるのです。

優良顧客の定義は、業種業態によってさまざまです。

たとえば、購入頻度について考えてみましょう。日用品や食料品といった購入サイクルの短い商品を扱っている場合は、週に2~3回などの利用を高い頻度と考えるでしょう。しかし、車や電化製品などでは数年に1度のペースになります。

同じように平均購買単価を比較しても、日用品と車では大きな違いがあります。

LTV分析を行い自社にとっての優良顧客を可視化すると、新規顧客獲得をどのような層に行うべきかが分かったり、既存顧客の育成にも役立つのです。

LTV算出方法の例

LTVは企業によってビジネススタイルや着眼点が違うため、一つの公式があるわけではありません。

ここでは、4つの代表的な算出方法をご紹介します。

LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間
LTV=平均購買単価×購買頻度×継続期間-(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)
LTV=年間取引額×収益率×継続年数
LTV=平均顧客単価×100/解約率

これらの数式以外にもLTVの算出方法はたくさんあるので、自社の現状にあったものを選んで使用するとよいでしょう。

LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間

この数式は、LTV算出の基本的な式です。

たとえば平均購買単価5,000円、購買頻度年4回、継続購買期間が10年とすると、5000×4×10=200,000円がLTVの値となります。

主にリピートして購入する商材のLTVを算出するのに向いているので、小売業や飲食店、ECサイトなどで使われることが多いです。

LTV=平均購買単価×購買頻度×継続期間-(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)

上の数式にコスト面を考慮した式です。

この数式を使って計算した際、もしLTVがマイナスになってしまうようなら経営が成り立っていないということになるので、早急な施策が必要と考えられます。

LTV=年間取引額×収益率×継続年数

こちらは、年間取引額から算出するLTVの算出方法です。1取引あたりの利益について判断する場合には、有用な数式と言えます。

長期契約を行う商材を扱うビジネスモデルに向いており、B to Bの場でも使われます。

LTV=平均顧客単価×100/解約率

近年勢いを増してきているサブスクリプションモデルのビジネスによく使われるのが、この数式です。

サブスクリプションモデルのビジネスでは、企業の成長に解約率が大きく影響します。なぜなら、解約率を下げることで掛け算方式でLTVを伸ばすことが可能になるからです。

この数式は、同じように定期的に決済を行う美容室やエステなどでも使用できます。

マーケティングの立場ではCPAの算出に利用

マーケティングにおいて、LTVはCPAの算出にも利用されます。

CPAとはCost Per Actionの略で、日本語では「顧客獲得単価」と訳されます。つまり、1人の顧客を獲得するのにどのくらいの販促コストが掛かったかを表す数値ということです。

LTVをもとにCPAを算出することで、1回の販促に掛けるコストの上限予算を算出できます。

CPAの上限を算出するには以下の数式を用いましょう。

CPAの上限=LTV×粗利率

もしも、計画している販促コストが上限より高い場合は、何らかのコスト削減をする必要があります。また、予定の販促コストが低すぎる場合、より大掛かりでダイナミックな広告展開を検討できるということになります。

販促終了時に販促活動が成功だったかどうかを見極めるためにも、LTVが役立ちます。

実際のCPA=販促コスト÷コンバージョン数(成約数)

という数式を使えば、実際のCPAを導き出すことが可能です。

さらに、CPAの上限と実際のCPAを関連付けて考えることで、実施した販促活動が成功したかどうかを判断します。

CPAの上限-実際のCPA

上記の数式の結果がプラスになれば、販促活動は成功と言えます。逆にマイナスになった場合は、売上に対して販促費用が掛かりすぎているということなので、次回以降早急な改善の施策が必要と判断できるのです。

CPAの改善ポイント

CPAの改善ポイントは、次の2点です。

・LTVを向上させる
・実際のCPAを見直す

LTVを向上させる

まずひとつめは、先ほど紹介したCPAの上限に対するアプローチです。

CPAの上限を求める式は「LTV×粗利率」でした。

粗利率の改善は、自社以外の各所を巻き込むことが必要になるためハードルが高いと考えられます。今回は、LTVの向上に注目していきましょう。

LTVの向上には、CRMが有効です。CRMとはCustomer Relationship Managementの略で、日本語に訳すと「顧客関係管理」という意味になります。CRMは顧客と接点で得られたあらゆる情報を管理分析する、マーケティング手法です。顧客ひとりひとりとの長期的な関係性を構築することを目指すLTVとは、相性の良い手法と言えます。

顧客分析には、CPM分析やRFM分析を使います。

CPM分析とはCustomer Portfolio Managementの略で、顧客を10個のセグメントに分けて分析し、ナーチャリング(育成)を行う方法です。CPM分析を行うことでグループごとにオファーやマーケティングが行えるだけでなく、グループの推移に着目することで企業の経営状況や顧客の状態を可視化できます。

RFM分析とは、Recently Frequency Monetaryの略です。その名の通り、「最近の購入日(Recently)」「購買頻度(Frequently)」「購入金額(Monetary)」の3つの指標を用いて、顧客をランク付けして購買状況を分析します。RFM分析では今見込みのある顧客だけにアプローチするので、短期的な効果を狙った方法と言えます。

実際のCPAを見直す

次に、実際のCPAを下げることに着目したアプローチを見てみましょう。

実際のCPAは「販促コスト÷コンバージョン数」で算出されます。そのため、「販促コストを下げる」ことと「コンバージョン数を増やす」という方法が考えられます。

実際のCPAを下げるためには、広告効果を分析して問題点にアプローチすることが必要です。広告費の配分を見直したり、広告効果の低いチャネルを絞りだしたりすることで販促コストの削減ができるでしょう。

また、LPの宣伝文句や順番を変えたりクリエイティブやテキストの最適化を図ったりすることで、コンバージョン数の向上させます。

ECサイトであれば、カゴ落ち対策を行うのも効果的です。チャットボットなどのWeb接客ツールを使うことで、販促コストの削減にも役立ちます。

LTVを高めるには

LTVを高めるには、CRMが欠かせないということは上で説明した通りです。ここでは、分析した結果を活かしてどのような施策を行うとよいのか、もう少し具体的に解説していきます。

LTVを算出する基本的な数式は、「平均購買単価×購買頻度×継続購買期間」でした。そのため、LTVの向上には以下の3つのアプローチが必要になります。

・平均購買単価を上げる
・購買頻度を上げる
・継続購買期間を伸ばす

平均購買単価を上げるためには、商品やサービスの値上げを行います。ただ闇雲に値上げするのではなく、新しい付加価値をつけるなどの納得感を高め、既存顧客の離脱を防ぐ工夫も行いましょう。また、アップセル、クロスセルによって購買単価を上げることも有用な施策です。

購買頻度を上げるためには、リマインドメールの配信が効果的です。CMR分析を用いて、各顧客にとって最適なタイミングに最適な内容のメールを送るようにしましょう。もしタイミングを間違えてしまうと、顧客はしつこいと感じ離脱してしまうこともあるので注意が必要です。

継続購買期間を伸ばすためには、メルマガの配信や会員特典の設定を行うなどの施策が考えられます。配信するメルマガの内容は商品紹介だけでなく、市場動向や商品に関するお役立ち情報なども盛り込み、顧客のファン化を目指しましょう。会員特典では、ポイントアッププログラムや会員ステージを作るなどして、長く利用することのメリットを打ち出すことが効果的です。

LTV分析まとめ

LTVは、顧客との良好で長期的な関係性を目指すために重要な指標となります。LTV分析を行うことで、企業は経営の根幹に関わるような大きなメリットを得ることができます。

既存顧客との関係の維持は、新規顧客獲得に比べてコストがかからないだけでなく、安定した収益を企業にもたらしてくれます。また、さまざまな算定方法を駆使すれば多方面の課題解決ができたり、育成すべき優良顧客の姿を可視化できるなど、具体的な施策立案にも役立つのです。

さらに、LTVからCPAを算出することで実際に行った販促活動が成功しているかどうかについて、コストと関連付けた数値で表すことができます。こうすることで、長期的な目で施策に対する評価ができるのです。

効果的なマーケティングを行い、企業を成長させていくためにも、LTV分析の活用をぜひおすすめします。

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