「リピート率」とは、どのくらいの割合のユーザーが繰り返し購入したり来店したりしてくれているのかを表す指標です。
特に単品リピート通販やサブスクリプション型サービスなどのビジネスにおいて、注視しておきたい重要指標の1つです。
本記事では、リピート率の意味や計算方法などを解説した上で、商材ごとの平均・目安や改善するポイント、リピート率を改善するために役立つ便利な支援ツールをご紹介します。
目次
リピート率について押さえておくべき基礎知識
リピート率とは、一体どのような指標なのでしょうか。まずは、リピート率の意味や計算方法、リピーター率との違いを紹介します。
リピート率とは
リピート率とは、新規ユーザーにおけるリピートユーザーの割合を表す数値のことで、「継続率」のことでもあります。
特定の期間に商品を購入したりサービスを利用したりした新規ユーザーのうち、何人のユーザーが再び購入・利用したのかを、パーセンテージで表す指標です。
計算方法
リピート率は、特定の期間を区切り「特定期間のリピートユーザー数」を「新規ユーザー数の累計」で割ることで計算することができます。例えば、過去1カ月間のリピート率を算出する場合は、以下の通りです。
知りたい期間に合わせたリピート率を計算し、商品やサービスの課題を洗い出す際の参考にするのがおすすめです。
リピーター率との違い
リピート率と似た指標に「リピーター率」という指標がありますが、それぞれの指標は一体何が違うのでしょうか。
リピーター率が当月に購入してくれたユーザーのうち、リピートユーザーが占める割合を表す指標なのに対して、リピート率は新規ユーザー数の累計のうち、何パーセントのユーザーが再び商品の購入、サービスを利用しているのかを表す指標です。
リピーター率の計算方法は以下の通りです。
それぞれ違った意味を持つ指標なので、分析・解析したい条件に合わせて、適切に使い分ける必要があります。
ケーススタディ
実際に「リピート率」と「リピーター率」をそれぞれ下記の条件を基に計算してみましょう。
– 当月のユニーク購入者数が100人
– 当月のリピート購入者数が30人
– 当月の新規購入者数が70人
– 前月までの累計ユニーク購入者数が1,000人
当月のリピート率は、「当月のリピート購入者(30人)÷累計ユニーク購入者(1,000人)×100=3%」となります。それに対して、当月のリピーター率は「当月のリピート購入者(30人)÷当月のユニーク購入者(100人)×100=30%」となります。
自社のデータを基に、一度リピート率とリピーター率を計算してみてください。
リピート率とリピーター率の活用方法
上記で紹介した通り、「リピート率」と「リピーター率」はそれぞれ計算方法が異なり、当然その計算結果に対する意味合いも違います。
参考の計算結果でも分かるように、リピート率は「累計購入者数のうち、どれくらいのユーザーがリピートしてくれているのか」という「ユーザーの継続性」にフォーカスしている特徴があります。
そのため、商品やサービスの魅力度やブランドへのコミットを分析・解析する際に最適な指標です。
それに対してリピーター率は「当月の購入者数のうち、リピーターはどの程度の割合なのか」といった「売上の内訳分析」にフォーカスしています。
そのため、ユーザーの属性や収益基盤を分析・解析する際に最適な指標だと言えるでしょう。
リピート率アップに取り組む重要性
リピート率が高い状態とは、新規購入したユーザーのうち、次に買ってくれるユーザーの割合が高い状態であり、商品やサービスの運営担当者は必ず注視しておきたいポイントです。
リピート率が高い状態とは、ユーザーがその商品・サービスのことを気に入ってくれた上で、再び購入・サービス利用する意欲が高く、LTV(顧客生涯価値)の向上にもつながる状態だと言えるからです。
リピート率が高くなることによって、ロイヤルカスタマーの育成や収益基盤の確保にもつながります。その結果、売上の向上を見込むことができるので、リピート率の改善はとても重要性の高い施策だと言えるでしょう。
一方で、リピーター率は、例えば新規購入者数が減少してリピート購入者の数が変わらないとき、上昇してしまう数字です。
つまり、リピーター率は新規購入者とリピーターの割合を適切がどうか確認するための指標なので、高いほどいいわけではありません。
リピート率とリピーター率は、似ているようで全く違う指標です。
どちらの指標が適しているのか見極めながら活用しましょう。
LTVについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。↓
商材ごとのリピート率の平均・目安
一般的なECサイトのリピート率は、35%程度が目安だとされています。ただし、業種や取り扱っている商材によって平均値は異なるので、目安を知りたい場合は同じセグメントで比較することが重要です。
次に、ECサイトの商材別に見たリピート率の平均値を紹介します。
消費財EC
消費財を取り扱うECサイトの平均リピート率は、50%程度だとされています。消費財を取り扱うECサイトとは、化粧品や健康食品などといった、消耗品や使い切りの商材を取り扱うECサイトのことです。
消費財を取り扱うECサイトの平均リピート率が高い数値となっているのは、消耗品で度々追加購入する必要があることが背景にあります。
食品や化粧品などの消費財は、種類が多い分「そのブランドが好きだから」、「そのECサイトでしか手に入らないから」という魅力がある商品であればあるほど、リピート購入につながりやすいものです。
消費財を取り扱うECサイトの担当者は、平均値と自社の状態を照らし合わせて、リピート率アップを目指す施策を行うことがおすすめです。
アパレルEC
アパレルECサイトの平均リピート率は、35%程度だとされています。アパレルECサイトの中でもブランド力のあるECサイトでは、リピート率がさらに50%程度にまで上がるとも言われています。
アパレル業界は、ユニクロやオンワードなどの大手ブランド各社も、近年EC化に力を入れています。
アパレルECサイトの顧客獲得競争は激戦化しており、リピート率をアップするためには、ユーザー1人ひとりに合わせたレコメンドなど、高精度のWeb接客がリピート率向上のカギになる可能性があります。
耐久財EC
耐久財を取り扱うECサイトの平均リピート率は、25%から35%程度だとされています。耐久財とは、PCや家具、家電などといった、高単価かつ長期間使うことを前提とした商材を指します。
耐久財は、消費財やアパレルなどと比べて、購入する機会が少ないことが特徴です。
強いブランド力を持つメーカーは、リピートユーザーを確保することができますが、ブランド力がなければ少ない購入機会の中でリピート購入を促すことが難しいこともあります。
耐久財のように、購入機会の少ない商材は中長期的な目線でユーザーに対するアプローチを行うことによって、リピート率の向上を目指す必要があります。
リピート率を改善するための6つのポイント
次に、リピート率を改善するために知っておきたい6つのポイントを紹介します。商品やサービスの運営を担当する方にとって、リピート率はとても重要な指標の1つなので、リピート率を改善する6つの方法を、改善施策立案の参考にしてください。
データを分析する
リピート率を改善するためには、まず既存ユーザーの情報や購買履歴などのデータを用いて、傾向を分析することが大切です。
「どのような属性のユーザーはリピート率が高いのか」、「複数の商品を取り扱っている場合だと、どの商品のリピート率が高いのか」などといった傾向を分析します。
ユーザーの各データを基に、リピートユーザーの傾向を分析することで、効果的な改善施策を打ちやすくなります。
クロスセル・アップセルを活用する
商品・サービスへのマンネリ化や飽きによる離脱を防ぐには、クロスセルやアップセルによって、別の付加価値を提供することが効果的です。
クロスセルやアップセルに成功すれば、顧客単価が上がるのはもちろん、顧客満足度も高まるメリットがあります。
顧客満足度がアップすることはリピート率改善に直結する重要な要素なので、クロスセルやアップセルによって顧客にさらなる価値を提供することを目指す施策には、重点的に取り組むことが大切です。
アップセルやクロスセルについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください↓
サービスの充実
リピート率を改善するためには、サービスを充実させることがとても重要なポイントです。
例えば、送料を無料にすることは購入に対する心理的な障壁を下げることにつながり、修理・メンテナンスを無料にすることは、購入に対する不安を解消することにつながります。
また、問い合わせやカスタマーサポートを充実させることによって、ユーザーに対して安心を提供することにつながります。
リピートするインセンティブを付与する
リピート率を改善するためには、リピートしたくなるような仕組みや仕掛けを作ることも効果的です。リピートしたくなるような仕組みや仕掛けには、さまざまな方法が挙げられます。
例えばポイントを付与することによって、特定のサイトを利用してもらえるように仕向ける方法や、会員ランクに合わせた優遇サービスを用意する方法などがあります。
それ以外にもクーポンを配布することによって、再度購入してもらえるように誘導する方法なども、リピート率改善に効果的な方法です。
接触チャネルを増やす
リピート率を改善するためには、さまざまな接触チャネルを確保することが重要なポイントになります。
様々な接触チャネルを確保することは、ユーザーとの関係を維持する上でとても効果的な施策なので、しっかりと対策しておきたいところです。
例えばメールマガジンやDMを定期的に送ることによって、ユーザーとの接点を作り関係を維持する方法や、SNSを利用して定期的に情報発信を行う方法などがおすすめです。
定期的に販促を行う
リピート率を改善するためには、購入後のアフターフォローや更新情報の発信、関連商品のアピールなど、定期的に販促を続けることが重要なポイントになります。
ユーザーには、休眠ユーザーやリピートの見込みがあるホットユーザー、リピートユーザーなど、さまざまな状態があります。
販促を行う際は、上記のようにユーザーを状態ごとにセグメント分けして、それぞれの状態に合わせた施策を行うことによって、より効果的にリピート率を改善することができるのです。
リピート率を高めるために役立つツール
リピート率を高めるためには、様々な施策や手法があることを紹介しました。次に、リピート率を高めるために役立つツールを紹介します。
顧客情報管理ツール
顧客情報管理ツールとは、ユーザーの属性や購買履歴、サービスの利用状況など、さまざまなデータを一元管理するためのツールです。
例えば、CRM(Customer Relationship Management)やSFA(Sales Force Automation)などが顧客管理ツールに該当します。
顧客情報管理ツールは、ユーザーの分析・解析に優れており、リピート率を高める上での課題や成功パターンなどの発見に役立ち、リピート率改善の施策立案に役立ちます。
また、ツールで顧客情報を一元化することによって、情報管理の効率化につながり業務負担を軽減することも可能です。
販促ツール
販促ツールとは、販促シナリオに基づいてユーザーにメールマガジンやSNS通知、アプリのプッシュ通知などのアプローチを実行・管理することが可能なツールです。
例えば、MA(マーケティングオートメーション)などが、販促ツールに該当します。
販促ツールでは、ユーザーをセグメント分けして、それぞれに合わせた販促アプローチを自動的に振り分けることなどができます。
新規顧客や休眠顧客、リピート顧客など特定の条件ごとにセグメントした上で、セグメントに合わせた最適な販促を行うことができる、とても便利なツールです。
Web接客ツール
Web接客ツールとは、Webサイトに訪問したユーザーに合わせて、オンライン上で質の高い接客を自動的に行うことができるツールです。
Web接客ツールには様々な種類がありますが、チャットボットやポップアップといったタイプが代表的です。
チャットボット型のWeb接客ツールの場合、ロボットが自動で選択肢を提示したり質問に回答したりすることによってコンバージョンを促したり、離脱を防止したりすることができます。
それに対してポップアップ型のWeb接客ツールは、ユーザーの行動を察知し、最適なタイミングで最適なポップアップを表示することによって、コンバージョンや回遊を促すことができます。
チャットボットについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください↓
実際にチャットボットを導入した事例
ひとつ前の見出しで、リピート率を高めるツールとしてチャットボットを紹介しました。
この見出しでは、実際にチャットボットを導入して効果が出た事例を3つ紹介します。
売上が10倍に
株式会社ライブナビ
導入の目的:売上の上昇
導入後の成果:売上が10倍に
獣医師との共同開発を経たのち、満を持して犬のデンタルケア商品「ドクターワンデル」を販売し始めた株式会社ライブナビでしたが、当初は売れ行きが芳しくありませんでした。
しかし、商品ページにチャットボットを設置して、購入の際にそのチャットボットからの情報入力を促したところ、設置から半年で売り上げは10倍に。
情報の入力フォーム途中での離脱は、EC業界での大きな課題のひとつとなっていますが、その課題をチャットボットによる快適な入力体験によって解決した事例と言えるでしょう。
こちらの事例の詳細はこちら↓
CVRが200%改善
株式会社レッドビジョン
導入の目的:カゴ落ちの改善、CVRの改善
導入後の成果:CVRが約200%改善
ヘアケアブランド「マイナチュレ」を販売する株式会社レッドビジョンでは、自社で運営する女性向けECサイトのカート内での離脱率が高いという悩みを抱えていました。
そこでチャットボットを導入し、チャット内で決済まで完結できるようにしたところ、CVRが約200%改善。
購入から決済にいたるまでの手順を面倒だと感じさせない方法として、メッセージアプリのようなインターフェースでやりとりできるチャットボットが有効だと分かります。
本事例に関する詳細にご興味のある方は、こちらの記事をご覧ください↓
CVRが140%改善
株式会社クロコス
導入の目的:CVRの改善
導入後の成果:CVRが140%改善
ハンド美容液「Siro jam(シロジャム)」を展開する株式会社クロコスは、商品LPからのCVRを高めるため、チャットボットを設置しました。
チャットボット内の設問項目の順番を変更したり、画像を活用したビジュアル訴求をしたりするなどの工夫によって、チャットボット導入後のCVRは140%改善。
ただ、チャットボット導入の効果はそれだけにはとどまりませんでした。
チャットボット内での商品の購入後、商品に合わせて別商品や別プランの案内をすることによって、アップセルやクロスセルをすることに成功。
チャットボット内の項目や文言、画像などを柔軟にカスタマイズできる特性を生かした事例となりました。
こちらの事例詳細にご興味ある方は、ぜひ下記の記事をご覧ください↓
まとめ
リピート率とは、新規ユーザーにおけるリピートユーザーの割合を表す数値であり、商品やサービスの運営担当者にとって、注視しておきたい重要な指標の1つです。
リピート率の改善は、売上に直結する重要な課題なので、本記事でご紹介した「リピート率を改善する6つのポイント」を参考に改善施策を実行することがおすすめです。
また、リピート率の改善をより効率的に行うためには、顧客管理ツールや販促ツールの導入をおすすめします。まずは、自社のリピート率を分析・解析した上で、改善施策や支援ツールの導入を検討してみてください。