【初心者でもわかる】コホート分析の使い方、分析方法や効果を徹底解説

Webマーケティングの現場には、現状把握に役立つたくさんの指標があります。では、指標となる数値を分析・活用するためにはどのような方法があるのでしょうか。

今回の記事では、「コホート分析」という手法について解説しています。

この記事を読むと、

・コホート分析とは?
・コホート分析の重要性や効果
・コホート分析の実施方法(GA4/エクセル)
・有用なツール

などが分かります。

より効果的な施策を実施するためにも、コホート分析の手法を理解し、マーケティングに活かしていきましょう。

コホート分析とは?ユーザーの動向把握に必須の手法

ではまず、コホート分析とは何なのかを知るために、概要や目的について解説します。

コホート分析とは

コホート分析とは、ユーザーの動向把握のために算出した指標を分析する方法のひとつです。

コホートとは「仲間のグループ」という意味です。もとは社会学や心理学の分析に用いられ、特定のグループの行動変化を要因ごとに分析するために使われます。

Webマーケティングにおいて「コホート分析」を行う場合は、ある条件下でユーザーをグループ分けして測定した指標ごとの分析を行うときに使用されます。

サイトごとに使用する指標にはさまざまなものがありますが、特に重要なのが「ユーザー維持率」です。ユーザー維持率とは、ユーザーがサイトを再訪したり商品やサービスを再購入する割合のことです。

特に再訪率がコンバージョンに直接影響するECサイトや、ユニークユーザー数でサービス改善のタイミングが測れるSNSなどでは、サイト運営に欠かせない手法とされています。

コホート分析で分かること

コホート分析を行うと、ユーザー動向のトレンドや現在の顧客ニーズを把握できます。また、長期的に分析を続けることで、将来的な行動パターンを予測できるのです。

たとえば、ある特定の日付にECサイトを利用して商品を閲覧したユーザーを、
「決済に至ったユーザー」
「カゴには入れたが決済には至らなかったユーザー」
「閲覧のみで離脱していったユーザー」などに分けて各グループを分析することで、それぞれの特徴を把握したり改善点を見つけ出せます。

さらに、各グループに対する最適なコミュニケーション方法やタイミングの予測が立てられるので、サイトを継続的に成長させるための施策を考えられるのです。

コホート分析の重要性と効果

次に、近年コホート分析への注目が高まっている理由について考えてみましょう。
ここでは、

・コホート分析の重要性
・分析を実施することで得られる効果

について解説します。

コホート分析の重要性

コホート分析を行う重要性が高まっている背景としては、以下の2点が挙げられます。

・新規顧客獲得が困難になっていること
・SaaSやサブスクリプションが台頭していること

これまで成長経済であった日本市場では、高スペックの新商品を次々に開発・販売することで新規顧客を獲得し、売上アップを図る方法が一般的でした。

しかし、市場の成熟や人口減少により、現在では以前のような方法での新規顧客獲得が困難になっています。企業はこれまで以上に顧客のニーズに寄り添い、獲得した顧客と長期的な関係を維持する必要が出てきたのです。

また、コホート分析の重要度が増している背景には、SaaSやサブスクリプションの台頭も挙げられます。SaaSとはインターネットに接続した状態でソフトウェアを利用できるサービス、サブスクリプションとは月額や定額であらかじめ料金を支払うことで一定期間利用できるサービスのことです。

こうしたサービスは、継続的に利用してもらうことで利益を得られます。そのため、ユーザーのニーズ動向を把握し改善を続ける必要があるのです。

分析を実施することで得られる効果

コホート分析を行うことで、得られる具体的な効果は以下の3点です。

・正確なユーザー維持率の動向が測定できる
・具体的な改善施策の実施に繋がる
・リピーターを獲得できる

ユーザー維持率の向上が事業の成長に役立つことは前述の通りですが、インターネットを介したサービスでは、非常に多くのユーザーとの接点が生まれるため、正確な動向を把握することは困難です。

たとえば、解約率に注目したとしましょう。確かに解約率が下がれば維持率が向上したと言えます。しかし、サイトが成長したためユーザーの絶対数が増え、ある時点の見た目の解約率が下がっただけとも考えられます。

このような場合、ユーザーを「2020年に最初の接点があったユーザー」「2021年に最初の接点があったユーザー」など、時系列でグループ分けしてコホート分析を行うとより正確な動向を把握でき、適切なタイミングでの対策が行えるのです。

また、分析結果をもとに具体的な改善施策が実施できます。

先ほどの例を分析した結果、最初の接点から1年のタイミングでの解約率が最も高くなることが分かったとしましょう。この場合、解約率が最も高くなる1年のタイミングでキャンペーンを実施したり、特別クーポンを配布したりすることで効率的に解約を防げるのです。

さらに、こうして長期的な関係性を維持できたユーザーはリピーターとなり、繰り返し商品やサービスを利用してくれるようになります。

リピーターは企業に継続的な利益をもたらしてくれるだけでなく、口コミやSNSへの投稿でよい評判を広げてくれます。また、新商品発売時にも新規顧客に対する宣伝広告のように大きなコストを掛けなくても商品やサービスの価値を理解してくれるので、コストを抑えて利益を上げることが可能になるのです。

関連記事:リピーターの獲得戦略!5つの改善方法を解説

コホート分析をはじめるには

では、実際にコホート分析を始めるにあたって、どのような準備が必要でしょうか。
コホート分析をスムーズに行うには、GA4かエクセルのピポットテーブルが使えると便利です。
ここではまず、それぞれの特徴と必要な準備項目をご紹介します。

GA4の場合

GA4とは、Googleアナリティクス4の略称で、Googleアナリティクスの最新版のことを指します。

GA4を使うメリットは、特別な知識や技能がなくても簡単にコホート分析が行えることです。

分析ツールとして広く使われてきたGoogleアナリティクスですが、2020年にアップデートされたGA4が発表されました。これまでのデータ分析機能に加え、新たに未来のユーザーの行動予測が立てられる機能や、ウェブサイトとアプリを横断した分析機能が加わり、ますます便利になっています。

GA4を使うには、あらかじめアカウントの作成が必要です。アカウント作成をするには、Googleアナリティクスのトップページ右上の「無料で利用する」ボタンから設定画面に入ります。すると必要項目が出てくるので、それぞれに入力しアカウントの作成は完了です。

エクセルの場合

エクセルを利用するメリットは、デザインなどを工夫することでより分かりやすいビジュアルにできることです。

エクセルを利用してコホート分析を行う場合、ピポットテーブルが使えると便利です。

ピボットテーブルとは、エクセルの機能のひとつで膨大なデータベースを集計・分類し、分析できます。特別な関数の知識がなくても利用できるので、コホート分析の際にはぜひ習得しておきたいところです。

エクセルを利用してコホート分析を行う場合、事前にデータベースを作成しておく必要があります。

コホート分析を実施する方法
GA4やエクセルを使おう

それでは、実際にGA4とエクセルを使用してコホート分析を行う手順をご紹介します。

GA4を利用したコホート分析の実施方法

  1. ①Googleアナリティクス4にログインする
  2. ②サイドメニューから「ホーム>ユーザー維持率(もしくは維持率)>概要」を選択する

上記の操作を行えば、ダッシュボード上で簡単に分析が実施できます。

さらに、ダッシュボードでは比較しきれない指標がある場合などは、「分析」機能を利用することでより詳しい分析が可能です。

  1. ①Googleアナリティクスにログインする
  2. ②サイドメニューから「探索>Explorations」を選択する
  3. ③サイドメニューの「タブ設定>手法」を「Cohort explorations(コホート分析)」にし、新規キャンバスを作成する
  4. ④必要に応じて「コホートへの登録条件」「リピートの条件」「コホートの粒度」を設定する

それぞれの設定項目には、以下の選択肢があります。

コホートへの登録条件
・初回接触
・すべてのイベント
・すべてのトランザクション
・すべてのコンバージョン

リピート条件
・すべてのイベント
・すべてのトランザクション
・すべてのコンバージョン

コホートの粒度
・毎日
・毎週
・毎月

エクセルを利用したコホート分析の実施方法

前述の通り、コホート分析はエクセルを使用して行うこともできます。

たとえば、会員登録を行ったユーザーが登録後何日で何割離脱したかを分析する場合には、
「会員登録日」「離脱日」「顧客ID」のデータを準備しましょう。

  1. ①エクセル(スプレッドシート)を開く
  2. ②用意したデータを新しいシートにコピペする
  3. ③元データを選択し、「メニュー>データ>ピポットテーブル」を選ぶ
  4. ④ピポットテーブルエディタから、「行」「列」「値」を設定する
    ・「行」:横軸の集計単位
    ・「列」:縦軸の集計単位
    ・「値」:集計したい項目の単位

コホート分析の結果を活かす5つの方法

コホート分析で分かった結果は、次のような5つの方法で実際のマーケティング現場に活かします。

  1. ①ユーザーの離脱防止のための施策を考案する
  2. ②将来的な売り上げやユーザーのニーズを予測する
  3. ③グループごとのLTV向上の施策を考案する
  4. ④キャンペーンなどの施策の効果を測定する
  5. ⑤必要な新規顧客獲得数を算出する

関連記事:LTV向上に必要な5つのポイントとは?3つの支援ツールも紹介

それではひとつずつ見ていきましょう。

1. ユーザーの離脱防止のための施策を考案する

コホート分析の結果を活用すれば、ユーザーの離脱防止のための施策を考案できます。

たとえば、あるゲームサイトを訪れたユーザーを分析したところ、初回訪問から一週間で著しく再訪率が下がっていたとしましょう。この場合、初回訪問から一週間のタイミングで、メールなどを用いてユーザーと接点を持つことで効率よく離脱を防げます。

また、サイトの滞在時間を分析し、サイト内の改善の必要性を判断することも可能です。もし、サイトページ内のある一定のタイミングで離れていくユーザーが多いことが分かれば、内部リンクやコンテンツのボリュームを増やしたりすることで離脱が防げるのです。

関連記事:離脱率とは?直帰率との違いや計算方法、8つの改善施策を解説

2. 将来的な売り上げやユーザーのニーズを予測する

長期的にコホート分析を継続することで、将来的な売り上げやユーザーのニーズを予測できます。

たとえば、住宅などの使用期間が長期的になる商品を新しく発表する場合、特に将来的な売り上げを予測することは重要です。

このような場合、年代別にコホートを分けて離脱率を長期的に計測・分析します。それぞれのコホートは同じように加齢し、世代の変化の影響を受けるため、各コホートにおける今後の動向やニーズを予測できるのです。

3. グループごとのLTVから施策の有効性を判断する

Webマーケティングにおける重要な指標として、LTVが挙げられます。

LTVとはLife Time Valueの略で、日本語では「顧客生涯価値」を意味します。LTVは、一人の顧客が生涯にわたって企業にどれだけ貢献するかを表す指標です。LTVの動向を分析することで、長期的な視点で施策の有効性が判断できるのです。

たとえば、夏と冬に同じようなキャンペーンを行い、短期的な売り上げは両キャンペーンとも同じくらいだったとしましょう。しかし、キャンペーン時が初回購入となったユーザーをコホートに分けて分析を続けると、夏に比べて冬のキャンペーンで獲得したユーザーの定着率が低いことが分かったりします。この場合には、夏のキャンペーンにより注力することで、大きな利益を期待できるのです。

関連記事:LTV(顧客生涯価値)とは?向上させるための8つの施策とさらなる重要指標

関連記事:マーケティングで重要なLTV(Life Time Value: 顧客生涯価値)とは?

4. キャンペーンなどの施策の効果を測定する

ECサイトでは、キャンペーンを行うことがありますが、こうした施策の効果を測定するのにもコホート分析は役立ちます。

たとえば、実施前後のユーザー数の推移を見れば、キャンペーンの直接の効果が分かります。また、キャンペーン中に獲得した新規顧客の経時的な離脱率を測定すれば、長期的なキャンペーンの効果を測ることもできるのです。

5. 必要な新規顧客獲得数を算出する

離脱率の分析をすることで、一定数の避けられない離脱数の目安を知ることが可能になります。

この目安の数値と目標コンバージョン数、現在のユーザー数を並べてみると、売上達成のためにあとどのくらい新規顧客を獲得する必要があるかが分かります。

マーケティング業界に「1:5の法則」というものがあります。これは、新規顧客獲得コストは既存顧客維持のためのコストの5倍かかるという意味の法則です。

つまり、売り上げアップを目指して新規顧客獲得にばかり注力しても、逆にコストがかかりすぎてしまい赤字状態に陥る可能性があるのです。そのため、売り上げアップに必要なユーザー数をあらかじめ計算したうえで新規顧客獲得を行うことが重要と言えます。

コホート分析に使えるツール5選

GA4やエクセルで手軽に行えるコホート分析ですが、その他のツールを利用するとより素早く細かい分析や効果的な施策ができます。

ここでは、代表的なデータ解析ツールやユーザー維持率向上の施策に活用できるツールを5つをご紹介します。

必要な分析項目や施策によって上手にツールを使い分け、維持率アップを図りましょう。ご紹介するツールは以下の5つです。

データ解析ツール
・Looker
・Tableau
・Power BI

維持率アップツール
・KiZUKAI
・BOTCHAN Engagement

1. Looker(ルッカー)

画像引用:https://ja.looker.com/

LookerはGoogleが提供するビジネスインテリジェントツールで、大量のデータを収集・分析できます。

収集したデータは「LookML」というモデリング言語で一元管理しているため、すべての操作をWeb上で完結でき、分析結果を各部署で共有しやすいほか、どこにいてもリアルタイムでの素早いデータ解析が可能になります。

また、データベースやアップロードの必要がない点も特徴のひとつです。ツール内にデータを残したり、データの移動をする必要がないため、セキュリティ面でも非常に優れたツールと言えます。

参考URL:https://www.dsk-cloud.com/blog/what-is-bi-looker

2. Tableau(タブロー)

画像引用:https://www.tableau.com/ja-jp

Tableauとは、セールスフォースドットコムの提供するビジネスインテリジェンスツールです。

主な特徴としては、BIツールの中でもビジュアルが分かりやすく操作性に優れている点や、1ユーザーから契約できるためスモールスタートできる点が挙げられます。また、ユーザー同士が交流できる「Tableauコミュニティ」があり、メンバー同士で疑問を解決し合うことも可能です。

参考URL:https://fabeee.co.jp/column/dx/bi_tool_tableau/

3. Power BI

画像引用:https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/

Power BIは、マイクロソフト社が提供するビジネスインテリジェンスツールです。

セルフBIサービスなので、プログラミングの知識がなくても手軽に始められる点が特徴です。また、Microsoft Office製品との汎用性が高いことも導入のメリットです。たとえば、エクセルのデータを読み込み、細かな分析を行うことが可能なのです。

参考URL:https://ferret-plus.com/32848

4. KiZUKAI(キズカイ)

画像引用:https://corp.kizukai.com/company/

KiZUKAIは、サブスクリプション向けのLTV・解約率改善のためのツールです。

独自のAIアルゴリズムが顧客の行動を自動分析し、解約傾向を明らかにします。また、分析結果から解約要因や顧客ニーズも把握できるので、商品やサービスの改善やアップセル・クロスセルといった施策の立案にも役立ちます。

参考URL:https://kizukai.com/

5. BOTCHAN Engagement

画像引用:https://botchan.chat/product/engagement

離脱ユーザーをLINEに誘導。見込み客は、チャットフォーム上での会話を通じて商品理解を深めることができます。1to1のコミュニケーションによって、情報をパーソナライズ。商品への理解を高め、ファン化まで導きます。BOTCHAN Paymentと連携すれば、ナーチャリングから購入、決済までの一気通貫でのブランド体験の提供が可能です。

参考URL:https://botchan.chat/product/engagement

まとめ

コホート分析は、ユーザーをグループに分けて長期的に分析することで、より正確な動向やニーズの移り変わりを把握するための分析方法です。

ユーザーとの長期的な関係性の中で利益を上げていくことが重要な現代において、マーケティングでは欠かせない手段となっています。コホート分析で見つけ出した課題に対して適切な施策を講じることで、ユーザーの維持率を向上させ、安定的な企業成長を目指しましょう。

ビックデータを活用する一方で、維持率アップのためには、ユーザーの生の声を引き出して活用することも重要です。

顧客維持率向上には「BOTCHAN Engagement」

離脱ユーザーに対し、チャットフォームを通じた1to1のインタラクティブな体験提供により、ユーザーの悩みや嗜好を把握。

LINEのメッセージ配信では、シナリオの離脱箇所やユーザーの年齢などに合わせた細やかなセグメントによるメッセージ配信が可能。

それらのデータにもとづいて、パーソナライズした情報を提供し、ユーザーの商品に対する理解度・熱量が高まるブランド体験の向上を通じて、高いCVR・LTVを実現します。

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