LTVの分析方法とは?計算方法や指標・活用法・施策を解説

2021.01.17
#EC

自社商品の売り上げアップや収益改善のために、ビジネスの指標としてLTVを採用する動きが増えてきています。

しかし、今後LTVの向上に取り組んでいこうと考えてはいるものの、具体的な計算方法や分析の仕方がよく分からないという方も多いでしょう。

そこで、LTVの必要性や目的に合わせた計算方法、LTVを活用して効果的な施策につなげるための分析方法や関連用語などについて、詳しく解説します。

LTVとはなにか

「LTV(Life Time Value)」は経済学やマーケティングなどで用いられる用語で、顧客と収益との関係性を示すためのものです。

「顧客生涯価値」と訳される通り、ある1人の顧客が生涯にわたり対象の企業にもたらす価値を意味します。

サービスや小売、オンラインやオフラインといったビジネスの形態を問わず幅広く活用できるのは、LTVの特徴的な点だと言えるでしょう。

取扱い商品が高価なブランド品でも、定期的に消費されるようなものでも、その有用性に変わりはありません。

LTVには計算式があり、数値として正確に表すことが可能です。そのため、ビジネスの収益性を改善するための指標として、多くの企業に採用されています。

ただし、効果的な施策のためには、指標としての意味を正しく理解することが肝心です。そのうえで、どのように計測・分析していくかが重要になってきます。

LTV分析の必要性とは?

一般的に、収益性が高いビジネスではLTVも高くなります。例えば、既存顧客のリピート購入を増やすことに力を入れるケースについて考えてみましょう。

リピーターの獲得は新規顧客の獲得に比べてコストがかからないため、施策がうまくいけば収益性は改善していくと考えられます。

このとき、顧客一人ひとりに注目すると、同じ企業で繰り返し購入するという行動をとっていることになります。その結果として、LTVは高い値を示すのです。

自社商品を繰り返し選んでもらえるかどうかは、既存顧客との良好な関係を維持できるかどうかにかかっています。

商品そのものだけでなく、カスタマーサポートなどを通じてユーザーからの評価を高めることに注力している企業も少なくないでしょう。

競合が存在する場合には、商品の購入を考えている既存顧客がもう一度自社にたどり着けるよう、適切なプロモーションチャネルを選択することも必要です。

そのためには、顧客が何に興味をもってどのメディアで情報収集し、どのようなプロセスを経て購入に至るのかを調査するといったマーケティング活動も求められます。

このような施策が成果に結びついているかどうかは、LTVの計測と分析によって知ることができます。LTVは、ビジネスの拡大を目指す企業に欠かせない指標だと言えるでしょう。

LTVの計算方法

LTVは、ある顧客が生涯にわたって企業にもたらす価値の総額です。本来であれば、一人ひとりの行動を追跡して、既存顧客ごとにその数値を算出するのが理想的だと言えます。

しかし、現実的にはLTVの算出に必要な計測を実施していない企業も多いでしょう。プライバシーを重視するために、行動データが特定の個人に結びつかないように配慮しているケースも少なくありません。

そのため、LTVは顧客1人あたりの平均値として算出する方法もあります。ここでは、よく使われる計算式を3つ紹介します。

1つ目の計算式は、「(顧客の年間取り引き額)×(収益率)×(顧客の継続年数)」です。顧客ごとの購入履歴が一定期間記録されているようなら、この方法で計算するのが良いでしょう。

特定の顧客に注目してLTVを知ることができるので、パーソナライズされたプロモーションなどに活用できます。

2つ目の計算式は、「(顧客あたりの購入単価)×(顧客あたりの購入回数)」です。購入単価とは、1回の取り引きで顧客が支払う合計金額のことです。

これに購入回数を掛ければLTVになります。ただし、顧客あたりの平均値による掛け算なので、算出されるLTVも平均値となります。

3つ目の計算式は、「((売上高)−(売上原価))÷(購入者数)」です。企業全体の利益を購入した顧客の人数で割っているだけなので、顧客ごとの継続年数が考慮されていない点には注意が必要でしょう。

上記2つの計算式に必要なデータが不明な場合の代用と考えることもできます。

代表的なLTVの計算式について、この記事では概要のみを取り上げました。より詳しく知りたいという方は、下記の記事もご参考にしてください。
参考:LTVの計算方法とは?LTV分析の意義と改善施策を解説

LTVの分析方法

ビジネスの収益を改善するには、LTVを高めるための施策が有効です。しかし、LTVには複数の計算式が存在します。どれも同じだと考えてしまうと、せっかくの施策も効果が薄いものになってしまうかもしれません。

LTVは算出方法を考慮して、的確に分析する必要があるのです。ここでは、紹介した3つの計算式の意味の違いについて説明します。

1つ目と2つ目の計算式の最大の違いは、個人に注目しているかどうかです。顧客ごとに個別の施策を検討する際には前者が、全体的な施策を検討する際には後者が役立つでしょう。

また、1つ目の計算式は収益率を考慮しているため、コストを差し引いたLTVを算出したいときに利用できます。これに対し、2つ目の計算式は購入単価に基づいているため、売上についてのLTVとなります。

3つ目の計算式では、顧客の継続年数が考慮されないことがほかの2つと大きく異なる点です。そのため、実際にLTVを求める際には、対象となる期間を決める必要があります。

分母となる購入者数も、期間ごとに変動します。年ごとや月ごとに区切ってLTVを集計し成長を確認したいときには、この計算式が役立つでしょう。

分析を生かしてLTVを高める方法

LTVの分析は、単独では十分に行えません。効果的な施策につながるような洞察を得るには、さまざまな企業活動や各種指標と組み合わせて考えることが大切です。

ここからは、特に関連性の強い「CRM(Customer Relationship Management)」と「CAC(Customer Acquisition Cost)」について取り上げ、LTVを高める方法について考えていきます。

LTVの分析から高める方法|CRMとの関連性

CRMは、日本語では「顧客関係管理」と呼ばれるマネジメント手法です。顧客との接触があるたびにその内容を詳細に記録しておき、あとで分析に役立てます。

様々なデータを蓄積して分析可能にする必要があるため、CRMでは専用のシステムを利用するのが一般的です。

このようなシステムでは、既存顧客はもちろん、まだ1度も商品を購入したことのない潜在顧客も管理対象にできます。

そのため、CRMはカスタマーサポートだけのものでなく、マーケティングや営業まで含めて幅広く活用されています。

CRMの最大の特徴は、これまでの購買行動や問い合わせ内容などの履歴情報を利用できる点です。

履歴に基づいて顧客ごとに最適なサービスやサポートをスムーズに提供できるため、顧客満足度の向上につなげることができます。

たとえクレーム処理であっても、CRMがあれば的確な対応によって良好な関係性を維持できる可能性が高まるでしょう。また、営業の段階からCRMを活用すれば、顧客ごとのニーズを的確に踏まえたアプローチも実現可能です。

これにより、購入前に不安な点などについて相談があった顧客に対して、購入後にフォローメールを送るといった対応もできるようになります。

また、CRMには「顧客ロイヤルティの向上に寄与する」という特徴もあります。いつでも的確なタイミングと内容で顧客とのコミュニケーションが取れるため、自社に対する信頼感や安心感を育てていくことができるのです。

顧客は個別の対応に満足するだけでなく、サービス内容や企業そのものに愛着を感じ、やがてはファンになってくれるかもしれません。このような変化は、LTVの数値として明確に現れるでしょう。

CRMの活用は、LTVを高めるための有効な手段のひとつだといえます。

LTVの分析から高める方法|CACとの関連性

CACとは、新規顧客を1人増やすためにかかる費用のことです。「顧客獲得単価」などと訳され、インターネット広告の分野では「CPA(Cost Per Acquisition)」とも呼ばれます。

企業が新たな顧客を獲得するには、キャンペーンや広告といったプロモーション費用のほか、営業活動の人件費などがかかるのが一般的です。

このようなコストの総額を、実際に獲得できた新規顧客数で割った値がCACとなります。LTVと同様に顧客1人分の金額を表しているため、CACとLTVは比較しやすい指標だといえます。

CACは新規顧客を獲得するために必要な投資ですが、初回の購入時点では投資金額が購入単価を上回り、赤字になってしまう場合もあります。

しかし、LTVの観点で捉えれば、同じ状況でも利益を見込める可能性が出てきます。CACがLTVよりも小さいことが分かれば、顧客獲得のための投資を回収しながら利益を積み重ねていくという長期的な見通しが立つからです。

ビジネス拡大路線に舵を切り、積極的にコストを投入していく戦略も考えられます。ただし、コストをかけすぎるとキャッシュフローに無理が生じる場合もあるので気をつけましょう。

反対に、CACがLTVよりも大きい場合は注意です。いくら顧客を増やす努力をしても、そのためにかかった費用は回収されず、赤字も膨らんでいく一方になります。

この場合は、新規顧客よりもリピーターの獲得に力を入れるなど、LTVを高めるための施策が求められるでしょう。

LTV分析の指標を確認してみましょう

LTVは金額によって表されるため、「高い」あるいは「低い」というのは比較的簡単かもしれません。一方、その意味合いは、何をどのような目的で計測したのかによって変わってきます。

「なぜ高いといえるのか」というような理由づけも、目的によるところが大きいでしょう。LTVをマーケティングやプロモーションなど、今後の企業活動に役立てる際には、目的に基づいた正しい使い方が大切です。

また、LTVの本来の目的を忘れないようにするには、LTVそのものは単なる指標に過ぎないのだという点を意識するとよいでしょう。

高いLTVを目指せばビジネスの収益性向上が期待できますが、LTVを高めること自体は目的ではありません。ここで目的を取り違えてしまうと、ただ数字に振り回されるだけの結果に陥る恐れもあります。

そのような事態を避けるためにも、「収益性の確認」と「施策の効果の確認」という代表的な2つのLTV活用シーンについて理解しておきましょう。

収益性の確認

LTVを指標として用いる最も基本的な目的は、現在の収益性を確認することです。LTVの計算式には収益率や購入単価が要素として含まれているため、収益率が高いときほどLTVも高くなる性質があります。

ただし、LTVが期待する水準に達しているかどうかを知るためには、自社にとって望ましいLTVの値を決めておく必要があります。例えば、現在のCACが判明しているとしましょう。

この場合、収益を上げるためには少なくともCACを上回るLTVを目指さなければなりません。目指すべきLTVの値を決めれば、実際のLTVが目標を達成できているかどうかを判断できるようになります。

逆にもし実際のLTVが目標を下回っていることが判明した場合は、何らかの施策が必要です。具体的にどのような施策を講じるべきかを検討するために、より詳細な分析が求められることもあるでしょう。

そのためには、CRMシステムなどに蓄積された顧客データが役立つかもしれません。顧客を部門ごと、サービスごとなどのグループに分けてそれぞれのLTVを算出すれば、改善が必要な部分が見えてくることもあります。

施策の効果の確認

LTVは、さまざまな収益改善施策に効果があったかどうかを確認する目的にも、用いることができます。施策を実行する前と後でLTVを算出し、両者を比較するのです。

その結果、LTVが高くなっていれば、施策を講じたことにより収益性がアップしたと判断できます。それでも期待する水準に達していない場合には、さらなる施策が求められるでしょう。

マーケティング施策の効果測定には、LTVを顧客グループごとに算出する手法が役立つこともあります。顧客を2つ以上のグループに分け、それぞれに対して異なるプロモーションを実施して効果を確認するのです。

その結果、LTVの変化に違いが見られたら、最も数値の伸びが大きかったグループの施策が効果的だったと判断できるでしょう。

このような手法を取り入れた施策を定期的に実施すれば、マーケティング活動そのものを継続的に評価しながら改善を積み重ねていくことも可能です。

LTVを分析し、効率の良いマーケティングを

LTVは顧客と収益との関係性を示すもので、ビジネスの拡大を目指す企業にとって欠かせない指標です。LTVを分析しマーケティングやプロモーションなどの企業活動に役立てれば、ビジネスの収益性を高めることができます。

それには、目的に合った計算方法でLTVを算出し、CACなどの指標とも組み合わせて施策を考えることが大切です。

また、CRMの活用により顧客満足度の向上を図ることも、LTVを高めるための有効な手段だと言えます。LTVを適切に分析することで効率の良いマーケティングを行い、自社の企業活動につなげましょう。

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