自社が運営するホームページやECサイトの「訪問者が少ない」、「ユーザーが商品の購入までたどり着かない」というお悩みはありませんか?
自社サイトに訪問したユーザーが商品の購入に至るまでの割合を「CVR」と言います。この記事ではCVRの改善方法を解説いたします。
目次
CVRとは
CVとはウェブマーケティング用語のコンバージョン(conversion)、「成果」を表します。CVRとはコンバージョンレートを指し、コンバージョンに至るまでの割合を指します。
例えば自社サイトやECサイトを訪問したユーザーが、資料請求や会員登録、商品を購入する等の行動をした割合がCVRとなります。CVRの高さは、直接収益へと繋げることができます。
なぜCVRは重要視されているのか
Webサイトの運営において、まず多くのユーザーがサイトへ訪問してもらうことを目指します。しかし、訪問してもらうだけでは自社の収益や顧客の獲得にはつながりません。
訪問したユーザーが商品の購入や会員登録へとつなげるためにCVRを向上させることは非常に重要です。
CVRの計算方法
CVRの計算方法は以下の通りです。
CVRの算出方法は、Webサイトで商品の購入(会員登録、資料請求等)をした人数を訪問・閲覧した人数の割合、つまり購入者数/訪問者数を指します。
例えば自社のECサイトの商品紹介ページを訪問・閲覧した人が1,000人いた場合、その中で商品を購入した人数が10人いた場合のCVRは、(10/1,000)×100、「1%」となります。
業界ごとのCVRの平均は?
CVRは、利用する広告体系によっても変動しますので、一概に決まった平均は言えませんが、米国の報告では、業界全体のCVRの中央値は2.35%でした。
優良企業と考えられる上位25%の企業のCVRの平均値は5.31%で、業界の上位10%の最優秀企業になるとCVRの平均値は11.45%でした。
業界ごとのCVRの平均値では、EC業界1.84%、法律ビジネス業界2.07%、B to B企業2.23%、金融全体5.01%でした。
詳しくは以下の表をご覧ください。
なお、この結果は、2017年8月~2018年1月の米国のアカウントから収集されたデータをもとに算出しています。
EC業界はサイトへの訪問数が多いためCVRの分母が大きくなり、分子である購入まで至る人数をサイト訪問数で割るとCVRは低くなります。
一方で金融サイトは、目的を持って閲覧する人が多く、分母のサイト訪問者数が多くなかった場合でも購入へとつながる割合が高くなり、CVRも高くなります。
CVRの平均について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください↓
CVRとCTRの違い
広告が表示され、その広告をクリックして企業サイトに遷移した割合をCTR(Click Through Rate:クリックスルーレート)と言います。CTRで自社のサイトに訪問する人数を増やすことはできます。
しかし、訪問・閲覧したユーザーが商品の購入、会員登録、資料請求をすることにつなげることが重要となり、単にCTRが増えたとしても、購入まで至った割合であるCVRを高くすることが企業にとって重要になります。
CVRが低くて困っている……その要因とは?
CVRが低い要因は業界や広告の打ち出し方によって様々です。
市場や環境は日々変化していくので、一時期に人気があったサイトや製品が売れなくなる、という環境や市場の要因があります。また、自社サイトに原因がある場合も考えられます。
環境や市場の変化
業界の市場の成長の可能性が高くなると競合も多く進出してくるため、自社の見込み顧客が他社へも分散することになります。
また、物価の変化による価格競争が発生すると安価な商品を販売する企業に消費者が移り、経済が悪化すると需要の低下も起こります。また、商品によっては季節性が要因の影響もあります。
近年では、世界中で環境に配慮をしたSDGs(持続可能な開発目標)に取り組む流れがあり、自然や環境に配慮した企業が評価され、商品が購入される、など市場の変化も起きています。
企業も時代の流れに合わせて、環境に配慮した製造方法へ移行し、時代の流れに沿った業態へと変換させていく努力が必要です。
サイトの構造
CVRが低い原因として、自社サイトの構造に問題がある場合があります。
例えば入力フォームの項目が多いと途中で入力を止めてしまう、サイト内の問い合わせフォームがどこにあるのかわかりづらい、サイトの内容に信頼性が低いなど、サイトの構造に原因がある場合があります。
これらに関連するマーケティング用語として、CTA(Call To Action)があります。CTAは日本語で「行動喚起」を指し、ユーザーへ行動を喚起させるために、テキストや画像に対して使われている用語です。
自社サイトへ「商品の購入」や「資料請求」のリンクがあるのは、サイト閲覧者を直ぐに次の行動につなげるためのCTAの方法です。
CTAにつなげるためには、商品購入のボタンをサイトの下部ではなく、サイトの中間など、複数個所への設置や、ボタンのレイアウトや色を目立たせる、など工夫が必要です。
CTAについて詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。↓
広告の打ち出し方
サイトの目的とユーザーに期待させる内容に乖離があることも購入まで至らず、離脱する要因となります。
ユーザーが広告に興味を持ちクリックをしても、リンク先が自分の興味と異なっている内容と感じ離脱してしまう原因は、広告とサイトの内容が合っていない可能性があるからです。
この場合、自社の目的とするターゲット、ニーズに合った広告を打ち出す必要があります。
さらにCVRにつなげるには、マーケティングで購買へつなげるプロセスを説明するモデルとしてAIDMAが参考になります。
A(Attention)は知る、I(Interest)は興味をもつ、D(Desire)は購入したいと望む、M(Memory)は記憶する、A(Action)は行動をするというプロセスです。
CVRに当てはめるとサイトを広告等で知ってもらい(A)、サイトに記載している内容で興味を持ってもらい(I)、購入・会員登録・資料請求したいと思い(D、M)、行動を起こしてもらいます(A)。
つまり、サイトに訪問したユーザーが閲覧しているうちに購入したいと思わせるプロセスを作る事でCVRが高まります。
訪問者が「購入したい」と思うように、サイト内で訪問者に訴求する内容を明確にし、その内容に沿った文章や画像を効果的に組み立てることが重要です。
CVR改善のポイント
CVRを上げるには、サイトへの訪問者を増やして購入する人を増やすか、または訪問者の数は現状と同じでも購入まで至るようにサイトを工夫する必要があります。
ECサイトを作り、訪問者を増やしただけでは売上は増加しません。収益までつながるようにCVRを意識し、サイトを改善して購入までつなげる必要があります。
CVRを改善するためにはどうしたらいいのか。ここでは改善のために取り組む具体的な内容を紹介します。
CVR改善のポイントは、まず自社サイトの訪問者数を把握する必要があります。また、訪問者数から商品の購入、会員登録、資料請求等の自社の目標に至るCVRが達成できているかを確認して、分析をする必要があります。
GoogleAnalyticsの計測環境を整える
自社サイトの訪問者数や、自社サイト内のどのページを訪問者が閲覧したか、また訪問者は幾つのサイト内のページを閲覧したのかは、自社サイトにGoogleAnalyticsを設定することで把握することができます。
GoogleAnalyticsは無料で設定ができ、設定方法も公開されているので、まず自社サイトにGoogleAnalyticsを導入しましょう。
まずはGoogleアナリティクスとWebサイトを連携させます。ログインの後、下記の5ステップの順番でCVRを確認していきましょう。
– Step1:「管理」アイコンをクリック
– Step2:3つあるメニューのうち、1番右側の「ビュー」メニューを選択
– Step3:「目標」を選択
– Step4:CV項目を設定
– Step5:トップ画面の「レポート」メニューに戻ると「コンバージョン」から測定数値を確認
設定が終わると、おおよそ1週間〜10日ほどで分析に必要な数値が集計できます。
GoogleAnalyticsに登録したら、「目標」を設定する項目があります。
目標は、ECサイトであれば商品の購入数、イベント運営や人材関係の企業であれば会員登録数、研修会社や物件販売であれば資料の請求数等になります。
目標を決めたら、目標が到達できたかを把握するために自社サイトに商品購入ページや会員登録ページを作成し、そのURLをGoogleAnalyticsに登録します。
その結果、サイトの訪問者数と目標で設定したページの閲覧数が把握でき、自動的にGoogleAnalyticsのサイトに表示されます。
自社のCVRをチェック
GoogleAnalyticsで計測環境が整ったら、実際にCVRを確認します。CVRは日々変化するので定期的なチェックが必要です。
定期的にCVRの変化を把握することや、業界のCVRの平均値に対して、自社サイトのCVRを比較しましょう。自社のCVRが業界平均より低い場合は、改善が必要です。
自社サイトの訪問者数も把握できますので、CVRが低い原因は、訪問者数の低さが原因か、訪問者数は多いけれども設定した目標に至る人数が少ないのが原因かを把握することができます。
改善点を絞る
GoogleAnalyticsでは自社サイトのどのページの閲覧数が高いかがわかります。また、ページ毎の閲覧時間や閲覧者がサイト内のどのページを経由したかも把握できます。
定期的にチェックをし、CVRの数値を見ながら、改善ポイント(改善ページ)を絞り込んでいきます。
CVRを高めるためにはどのページを改善する必要があるのかが把握できたら、ページに記載された内容によるCVRの変化を確認します。
ユーザーがどのような内容に興味を持ち、購入に至るのかが分かります。また一般的に更新頻度が高いと閲覧者数が増えるので、CVRも高まります。
CVRが低い要因を解析
CVRの解析として、まずは「なぜコンバージョンする数が少ないのか」仮説を立てます。仮説はいくつかありますがまずは広く見ていきましょう。
自社サイト内の閲覧時間が短い場合は、記載している内容の分量が少ない原因が考えられます。分量が少ないとユーザーが自社に共感を得るまでに至らないことがあります。
また、個々のページの分量が少なくても興味を惹くページが幾つかあればサイト内を経由するので閲覧時間が長くなります。しかし、閲覧時間も短い場合は、サイトから離脱している可能性が高いです。
閲覧時間を長くすることを目指すのも改善の一つです。閲覧時間が長いということは、ターゲットに興味がある内容が記載されていて、ユーザーは読んでいるうちに自社や製品に興味が湧き、共感をしていきます。
一方で、記事の文章が長すぎると読むのを途中でやめてしまうことも多いですので、サイトの内容は適切な分量であることも大事です。また、文章だけではなく写真等を挿入することで閲覧しやすくなります。
閲覧時間が短い理由として、内容そのものが訪問者の興味と異なる場合や、文章が稚拙である場合もあります。
定期的に閲覧者数を確認することで、どのような記事の評価が高いかを分析し、評価が高い記事に関連した内容を増やしていくことも効果があります。
サイトの改善と検証
CVRが低い仮説を立てたら、その仮説が正しいかをサイト上で検証するために、どのような施策を打てばいいのかを分析し、実際に検証します。
例えば、広告から遷移する自社サイトのページを変えてみて、CVRの変化を確認し、購入までつながるページを遷移先に変更します。
また、購入ボタンや資料請求のボタンの配置、レイアウトや色合いを変えることで、CVRに影響があるかを検証し、アンケートでは入力項目の分量を変えて検証します。
サイトの記載する内容や執筆者を変更したページを新規で作成することでCVRの変化を検証することもできます。
LPO(ランディングページ最適化)を実施する
CVRが低い原因として、「CVの決め手になる押しが弱い」ということが考えられます。どんなに魅力的な商品で機能が優れていたとしても、インターネット上の買い物は購入をためらったり、何度も検討したりするものです。
次第には購入することを忘れてしまうことも頻繁にあります。
そこで、重要になるのがLP(ランディングページ)の構築です。LPはいわば「ユーザーを着地させるページ」であり、購入や問い合わせといったCVをさせるためのページです。
ユーザーに商品・サービスの魅力を伝え、不安を解消してアクションを促す重要な役割を担います。また、LPは一度作ったら終わりではなく、常に最適化していくことが重要です。
これを「LPO(ランディングページ最適化)」と呼びます。具体的には、以下の施策が挙げられます。
– LPの構成、文言を修正する
– 広告のターゲティングを見直す
– バナーに応じてLPの訴求を変える
– レスポンシブデザインにする
LPについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください↓
CVR改善のポイントは以下の通りです。ぜひ参考にしてみてください。
CVRの改善について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください↓
CVRの改善に活用すべきツール
CVRを改善させるにはツールを活用すると効率的に効果が出やすいです。ここからは特に役立つツールを紹介します。
アクセス解析ツール
アクセス解析ツールでは、Webサイトの以下の数値を計測できます。
– ユーザー属性
– デバイス
– 環境
– 行動(アクセス数、閲覧時間)
– 成約
代表的な解析ツールがGoogleアナリティクスです。Googleアカウントさえ持っていれば、誰でも無料で使用できます。
アクセス解析ツールがあることで「どのページで離脱しているのか」、「どの商品への関心が高いのか」などについて、定量的な分析が可能になります。
視覚的にWebサイトの問題点や解決策を導くことができるので、CVRのアップに大きく役立つでしょう。アクセス解析ツールは、まさにCVR改善に必須のツールと言えます。
参考記事:Googleアナリティクス
A/Bテストツール
A/BテストとはAタイプとBタイプの2パターンのページを用意して、どちらの効果が高いかをテストする方法です。A/Bテストツールは、このようなA/Bテストをサポートするためのツールを指します。
A/Bテストツールを導入することで「A/Bテストの実行」および「A/Bテストの効果検証」が効果的かつ簡単になります。通常、CVRを改善する施策を行う際は、その施策によって以下の2点を把握する必要があります。
– 1.過去よりも改善したか、悪化したか
– 2.どのくらい改善したか、悪化したか
A/Bテストツールがあるとこういった検証も容易になり、CVRの改善施策を次々と実行・検証できます。その結果、より早く効率的にCVRアップにつながるでしょう。
チャットボット
チャットボットとは、ロボットが音声やテキストを通じて人と会話するコミュニケーションツールです。
大きく2種類に分類され、AI(人工知能)に過去の会話記録を学習させるタイプと、事前に決められたシナリオを登録させるシナリオ型があります。
例えば、ECサイトの問い合わせや、家電製品の取り扱い説明、カスタマーサポートなどに導入されています。チャットボットを設置することで、ユーザーからの質問に24時間365日いつでも迅速に正確な回答を返すことが可能です。
また、Webサイト内の任意の場所やページにも設置できるのでユーザーはサイト内のどのページや場所からでも、求める情報にアクセスできます。購入や資料請求などのCVに誘導しやすく、結果としてCVRの改善に貢献します。
チャットボットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
チャットボットの導入事例3選
先ほどの見出しで、CVRを改善するためのツールにチャットボットを挙げました。
本見出しでは、チャットボットを導入したことでCVRを改善した事例を3つ紹介します。
CVRが200%改善
株式会社レッドビジョン
導入の目的:カゴ落ちの改善、CVRの改善
導入後の成果:CVRが約200%改善
ヘアケアブランド「マイナチュレ」を販売する株式会社レッドビジョンでは、自社で運営する女性向けECサイトのカート内での離脱率が高いという悩みを抱えていました。
そこでチャットボットを導入し、チャット内で決済まで完結できるようにしたところ、CVRが約200%改善。
本事例に関する詳細にご興味のある方は、こちらの記事をご覧ください↓
CVRが140%改善
株式会社クロコス
導入の目的:CVRの改善
導入後の成果:CVRが140%改善
ハンド美容液「Siro jam(シロジャム)」を展開する株式会社クロコスは、商品LPからのCVRを高めるため、チャットボットを設置しました。
チャットボット内の設問項目の順番を変更したり、画像を活用したビジュアル訴求をしたりするなどの工夫によって、チャットボット導入後のCVRは140%改善。
ただ、チャットボット導入の効果はそれだけにはとどまりませんでした。
チャットボット内での商品の購入後、商品に合わせて別商品や別プランの案内をすることによって、アップセルやクロスセルをすることに成功。
チャットボット内の項目や文言、画像などを柔軟にカスタマイズできる特性を生かした事例となりました。
こちらの事例詳細にご興味ある方は、ぜひ下記の記事をご覧ください↓
CVRが150%改善
株式会社フロムココロ
導入の目的:CVRの改善
導入後の成果:CVRが150%改善
自社のEC商品「デイリーワン」のマーケティング担当を務める湯浅さんは、サイトからの商品購入率(=CVR)を高めるべく、様々な施策を試していました。
年々厳しくなる傾向にある景品表示法をはじめとした法律の影響を受けるなかで、商品LP(ランディングページ)内のクリエイティブの順番や文言を変えるといった地道な施策を積み重ねる日々。
しかし、それらの施策も数値改善のインパクトとしては物足りず、残されている施策は徐々にジリ貧となりました。
そこでCVRを改善する起死回生の一手として導入したのが、チャットボット。
チャットボットであれば、設置するサイトや購入カートのシステム面に対して大きな変更を強いることなく、CVRや問い合わせ数といった成果に大きな影響を与えることができます。
チャットボットの低い導入ハードルと大きな効果という特徴を示す事例のひとつと言えるでしょう。
こちらの事例に関してさらに詳しい内容にご興味を持っていただいた方は、下記の記事も参考にしてください↓
CVRの見直しは重要な要素、すぐに試してみましょう
収益をあげるためには自社サイトやECサイトを作成するだけではなく、CVRを高くする必要があることを理解できたと思います。
まずは自社のCVRを把握できるように環境を整備しましょう。環境を整備したら、定期的にCVRの数値を確認しましょう。
数値を確認することで、サイトの問題点が見えてきます。問題点を解決する仮説をたてて検証をして改善をしていきます。CVRを改善することは売上向上の近道です。すぐに試してみましょう。