インターネット社会となったことや、新型コロナウイルスの影響を受けた昨今では、D2Cビジネスモデルが注目を集めています。
D2Cの市場規模は拡大傾向にあり、2025年には実績が3兆円に達するとも言われています。新たなビジネスの糸口として、D2Cに注目されている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、
・D2Cについて
・D2Cマーケティングの戦略について
・SNSの活用について
・D2Cマーケティングに役立つツール
など、マーケティングに役立つ情報について解説しています。
これからD2Cビジネスを始めようと考えている方には、特にご一読いただきたい内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
D2Cのビジネスモデル
D2CとはDirect to Consumerの略称で、商品の企画製造から販売、アフターサービスに至る販売工程の全てを製造メーカーが担い、顧客とECサイトなどを通じて直接コミュニケーションをとるビジネスモデルです。
もともとは2000年代にアメリカで始まったビジネスモデルですが、SNSの普及や新型コロナウイルスの影響などもあり、近年では日本においても注目が集まっています。
従来の販売工程では、製造メーカーが関わるのは企画製造までのフェーズに限定されており、その後の流通や販売、アフターサービスといった工程は卸売業者や小売業者に任せていたため、中間マージンが発生していました。
しかし、D2Cでは製造メーカーが直接顧客と接点が持てるため、コストの削減が可能になりました。また、メーカーのブランドコンセプトを顧客に伝えやすいので顧客のファン化にも繋がり、継続的で良好な関係性の構築にも役立つのです。
D2Cで成功するためのマーケティング戦略
D2Cマーケティングにおいて最も重要視されることは、コアなファンを育成していくことです。
なぜなら、顧客をファンへと育成することによって企業との長期的な関係性と安定した利益構造の構築が見込めるからです。新規顧客獲得が困難になってきている日本の成熟市場において、こうした仕組み作りは企業が継続して成長し続けるためには欠かせない戦略となります。
では、具体的にどのような施策を行うとよいのでしょうか。
D2Cで成功するために行うべき施策は、以下の5点です。
・ターゲットとなる顧客像のブラッシュアップ
・他社と差別化できるブランディングで世界観を確立する
・SNS を活用する
・顧客と双方向のコミュニケーションをとる
・かご落ちメール配信でCVR(Conversion Rate:成約率)を改善する
では、ひとつずつ見ていきましょう。
ターゲットとなる顧客像のブラッシュアップ
新規で獲得した顧客をファン化するために、最初に行うべきは顧客像のブラッシュアップです。
現代の日本における顧客の価値観は、「商品を所有すること」から「商品を利用して得られる成功体験」へと変化しています。そのため、マーケティングを行う場合は商品のスペックを追求するよりも、顧客ニーズに沿った商品であることをアピールするほうが効果的です。
顧客像を明確にする際は、年齢や性別といった単なる属性への振り分けだけでなく、ライフスタイルや趣味、人となりなどを設定し、より深いニーズの掘り起こしに役立てましょう。
他社と差別化できるブランディングで世界観を確立する
ブランディングを行い、独自の世界観を確立することも、D2C成功には欠かせない要素のひとつです。
画期的な新商品が開発され続けていたこれまでとは違い、成熟した日本の各市場では既に高品質な商品が溢れています。そのため顧客は、商品のスペックだけでは購入の判断が困難となっているのです。
実際に、ネオマーケティング社が行った<「ファンづくりに関する調査」では、「あなたが企業・ブランドのファンになった要因をすべてお答えください」という質問項目に対する回答で「ブランドの世界観」と答えた割合は32.0%で、全体の第二位となっています。
このように、ブランディングを行い世界観を作り上げることで、顧客に選ばれファンになってもらえるブランド作りができるのです。
SNS を活用する
SNSの活用も、D2Cブランド成功には不可欠な施策と言えます。先ほどご紹介したネオマーケティング社のアンケートによると、「ファンとなったブランドを知った理由」について、SNSはテレビCMに次ぐ第二位に選ばれています。
さらに、GENERAL RESEARCH社による「2021年SNS動向調査」を見てみると、全世代に共通して「情報収集」がSNSの主な利用目的とされています。
つまり、SNSを活用した広告宣伝活動は、ファンづくりを目指すためには必須の施策なのです。
さらにSNSのストーリー機能などを利用すると、商品情報だけでなくブランドの世界観や成功体験のイメージを提供できるため、とくにD2Cブランドには適した手法であると言えます。
顧客と双方向のコミュニケーションをとる
SNSの普及により、これまで不可能だった顧客との双方向のコミュニケーションが可能になりました。
これまでのマーケティングでは、企業が顧客に向けて一方的に情報を発信していました。顧客からのフィードバックと言えば、お客様窓口に寄せられた電話やお客様の声など限られており、顧客理解を深めるのは質・量ともに不十分なものでした。
しかし、SNSを使って顧客にアンケートへの協力を呼びかけることで、より多くの生の声に接することができます。また、参加型ライブ配信を行えば、配信中のダイレクトな意見交換や顧客同士のやり取りを見ることも可能です。こうしてより多くの顧客との接点を得ることで、顧客ニーズや顧客像をさらに深掘りでき、商品の改善にも繋げられるのです。
かご落ちメール配信でCVR(Conversion Rate:成約率)を改善する
かご落ちメールとは、ECサイトにおいて商品をかごに入れたまま放置している顧客に対して送る、「まだかごの中に商品が残っていますよ」という内容のメールのことです。
かご落ちの理由はさまざまですが、株式会社イー・エージェンシーの調査によると、ECサイトで買い物をした顧客のうち、約70%が商品をかごに入れたまま放置してしまっていることが分かっています。
しかし、いったん商品をかごに入れたということは、その顧客が商品に対して少なからず興味を持っていることは確かだと考えられます。そのため、かご落ちメールを送り顧客の購買意欲を思い出させることは、CVRの向上を図る上でも重要な施策と言えます。
<sD2Cブランドでも、ECサイトを経由して顧客に商品販売をする場面が多いため、かご落ちメール配信は成功のための有用な施策となるのです。
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D2Cマーケティングにおいて重要なのは世界観×ファン
D2Cマーケティングにおいては、「世界観」と「ファン」が非常に重要なキーワードとなります。なぜなら、D2Cで最も重視されるファンづくりのためには、明確な世界観の共有が欠かせないからです。
現代の日本においては、顧客の価値観が「商品を所有すること」から「商品を利用して得られる成功体験」へとシフトしていることは前述の通りですが、今後はさらに「商品を利用する意味」を重視するようになると考えられます。
たとえば、フードロスの削減を推進している企業から商品を購入したり、サステナブルな素材で作られた衣料品を選んだりする場面を考えてみましょう。このとき、顧客が感じている商品の価値は、商品そのもののスペックや商品を通じた成功体験というよりは、商品や企業のコンセプトへの共感に重きを置いています。
こうしたことからも、今後商品の所有を価値として打ち出したマーケティングはますます下火になることが予想されます。反対に、世界観の構築や共有に注力することが、今後のマーケティング成功のカギになるとも言えるのです。
D2Cならではのマーケティング戦略・戦術
それでは、実際のD2Cの現場ではどのような戦略・戦術がとられているのでしょうか。
ここでは、世界的にも有名なD2Cブランドの成功事例であるWarby Parkerを例にとって、D2Cならではのマーケティング施策の具体例を見ていきましょう。
Warby Parkerとは、アメリカ初のアイウェアブランドです。
Warby Parkerでは創業から2年間、PR活動に多くの予算を費やしました。その狙いは、顧客の認知度を高め世界観を共有することです。また、無料トライアルをオンライン上で行うことで、顧客に商品を通じた体験を提供しファンを育成していったのです。
こうした施策を講じた結果、ブランド立ち上げから約3週間で1年分の売り上げを達成するなど、高い成果を得ることができました。現在でもこうした施策はD2Cの理想的な成功事例として、世界中から注目を集めています。
D2Cを成功に導くマーケティング方法にSNSの運用を
SNSの活用は、D2Cマーケティングの成功の近道と言えます。しかし、数多くあるSNSを思いつくままに利用していたのでは、あまり効果が期待できません。
この項目では、SNS運用時に行うべき施策や注意すべき点についてご紹介します。D2Cを成功に導くマーケティングを行うためには、以下の点に気を付けましょう。
目的に応じたSNSチャネルの使い分け
・SNS活用①企業公式アカウントの開設
・SNS活用②SNSの広告運用サービスを利用する
・D2CマーケティングにSNSを活用する際の注意点
目的に応じたSNSチャネルの使い分け
SNSと一口に言っても、それぞれのチャネルにはコンテンツや世代別の利用率の高さなどの特徴があります。
たとえば、Instagramは10代~30代の利用者が多く、複数枚の写真や動画を使ってビジュアルに訴えることができます。Facebookの場合は30代~40代の利用者が主流で、登録時に詳しい個人情報を入力するため、属性に応じて的確なアプローチがしやすいです。全年代をターゲットにしたい場合は、日本ではLINEを活用するのがおすすめです。
商品やサービスのターゲット層によって、適切なSNSの活用を心がけましょう。
SNS活用①企業公式アカウントの開設
SNSの活用法として挙げられるのが、企業公式アカウントの開設です。
この方法がD2Cブランドにおける効果を発揮する理由としては、アカウントを運用することで、顧客と直接コミュニケーションをとるための関係性が構築しやすい点にあります。
SNSは公式アカウントを通じて、ブランドの世界観や商品情報などを企業から顧客に向けて自由に発信できるほか、ファンとのコミュニケーションの場としても役立ちます。
なお、SNSの運用にあたっては、効果が出るまでの時間も継続的に情報を発信し続けなければならない点やフォロワー数が一定数を超えないと効果が出にく点などデメリットもあります。しかし、顧客との長期的に友好な関係を構築するためには、効果的な手法と言えるのです。
SNS活用②SNSの広告運用サービスを利用する
InstagramやFacebookなど、人気のSNSの多くは広告運用サービスを行っています。このサービスを利用すると、SNSユーザーの年齢や性別、趣味嗜好などの属性を選んでアプローチすることが可能です。
たとえば、Instagramでおすすめの投稿を見ていた時に、ユーザーの投稿を閲覧する感覚でショッピングサイトの広告を訪問したことはありませんか?
こうした広告は投稿の合間に出稿できるので、顧客が思わずクリックして接点が生まれることが見込まれます。広告を作成する際は「いかにも広告」といった作りは避け、SNSの雰囲気に合った自然な内容にするよう心がけましょう。
より多くの顧客との接点を作るために、SNS広告への出稿も検討しましょう。
D2CマーケティングにSNSを活用する際の注意点
SNSを活用したマーケティングを行う場合、顧客の多くは手軽さや気軽さを求めて流入してくることを覚えておきましょう。SNS広告からECサイトへの誘導は、マーケティングの典型的な施策のひとつですが、場合によってはSNS内で購買過程が完結する仕組みを構築することも大切です。
また、D2Cのビジネスモデルでは顧客は商品を実際に手に取って確認することができません。そのため、より商品のスペックや付加価値がリアルに伝わる仕掛けが必要となります。
動画や画質にこだわって作成することで、顧客に商品の価値が伝わる作りに仕上げることが重要です。さらに、基本的には販売工程の全てを自社で行いますが、必要であれば変化の激しいデジタルコンテンツの知識に長けた専門家に相談することも検討しましょう。
SNSの専門家に任せることで、インフルエンサーを紹介してもらえたり自社に合った訴求方法のアドバイスをもらえたりできるので、高い効果の施策立案にも繋がるかもしれません。
D2Cにおすすめのマーケティングツール
D2Cマーケティングを行うときには、SNSの活用が効果的なのは前述の通りですが、そのほかにもマーケティングツールを上手に取り入れることで自社で担う全ての販売工程における業務のサポートに役立てることも有用です。
では、どのようなマーケティングツールを選べばよいのでしょうか。
ここからは、おすすめのマーケティングツールとその特徴について紹介していきます。
・CRM/マーケティング効果や顧客データの測定と分析ができる
・かご落ち対策ツール/かご落ちメールの自動送信が可能
・チャットボット/ECサイトと相性が良い
それぞれのツールには得意なサポート分野があります。自社の現状把握をし、必要なツールを選ぶことで、効率よくビジネスに活用しましょう。
CRM/マーケティング効果や顧客データの測定と分析ができる
CRMとはCustomer Relationship Managementの略称で、日本語に直すと顧客関係管理のことです。
SNSなどのオンラインで収集した顧客情報は膨大で、人の手で管理し測定や分析に活かすとなると、多くの工数を費やしてしまいます。そこでCRMを導入することにより、こうした顧客とのあらゆる接点における情報を一元的に測定、管理できるのです。
また、過去に行ったマーケティングの効果を顧客の動向から分析することも可能です。
たとえば「Synergy!/シナジー」を導入すれば、継続的な分析と顧客情報管理サービスが受けられるほか、メールや広告に関する課題分析もしてくれるので、施策立案やPDCAサイクルを回す際にも役立ちます。
参考URL:https://www.synergy-marketing.co.jp/cloud/synergy/
参考記事:「Synergy!」
かご落ち対策ツール/かご落ちメールの自動送信が可能
かご落ち対策ツールを導入すれば、かご落ちメールの自動配信ができます。
かご落ちツールでは単なるメール配信ツールではなく、メール内にカート商品を反映させたり適切なタイミングで送信したりしてくれるなど、かご落ちメール配信における細やかなサポートを受けられます。
たとえば、「CART RECOVERY/カートリカバリー」では最短で15分後にはかご落ちメールが配信できるほか、リマーケティング広告を活用してメールアドレス未登録の顧客にもアプローチできるなど、効率的な方法を試すことが可能です。
参考URL:https://vue.ai/blog/ai-in-retail/abandoned-cart-recovery/
関連記事:https://botchan.chat/base/cart-abandonment
参考記事:「CART RECOVERY」
チャットボット/ECサイトと相性が良い
チャットボットを利用できるサービスは、ECサイトとの相性が良いと言えます。チャットボットとは「チャット」と「ロボット」を組み合わせた造語で、ロボットによる顧客対応ができるサービスです。
チャット形式でのやりとりは顧客にとって馴染みのある方法なので、申し込みフォームや決済画面など、個人情報を入力する場面でも顧客のストレスを軽減し、決済までの後押しに効果があるとされています。
「BOTCHAN/ボッチャン」では、このチャットフォームに特化したサービスを提供しています。複雑なシナリオ設計から種類の豊富なデザインで、顧客がECサイトを通じて快適な購買活動を行う手助けとなってくれます。
参考URL:https://botchan.chat/
関連記事:https://botchan.chat/base/chatbot-comparison
D2Cならではのマーケティングで売り上げを伸ばす
D2Cは製造メーカーがECサイトを通じて、顧客に直接販売を行うビジネスモデルです。特徴としては、商品の企画製造から販売、アフターサービスまでを一貫して自社で行っている点です。従来の販売方法とは異なる点も多いため、D2Cならではのマーケティングを行うことは売り上げの向上に不可欠です。
D2Cならではのマーケティングとして挙げられるのは、
・ターゲットとなる顧客像のブラッシュアップ
・他社との差別化を可能にするブランディング
・SNSの活用
・顧客との双方向でのコミュニケーション
・かご落ち対策
でした。
また、非常に多くの工程数を自社でこなすD2Cモデルのビジネスでは、マーケティングツールを活用して作業効率を向上させることも成功には欠かせないポイントです。
適切なマーケティングと自社に合ったマーケティングツール導入で、D2Cビジネスを成功に導きましょう。