ECサイトを運営している企業担当者の中には、「アクセス数は少なくないのに売り上げが伸びない」といった悩みを抱えている方のいらっしゃるのではないでしょうか?
こうした現象の原因のひとつとして考えられるのが「カゴ落ち」です。
カゴ落ちとは、ECサイトを利用した顧客が商品カートに商品を入れたまま、決済へ進むことなく離脱してしまうことです。そのため、「カート放棄」と呼ばれることもあります。
ECサイトの売り上げはCVR(Conversion Rate/コンバージョンレート:成約率)に大きく左右されるため、カゴ落ちを防ぐことは売り上げアップのための重要な施策とされています。
そこで今回は、カゴ落ち対策として「カゴ落ちメール」について詳しくご紹介します。
また、カゴ落ちを防止する対策についても説明しているので、売り上げアップの施策としてぜひお役立てください。
目次
カゴ落ちメールとは
カゴ落ちメールとは、カゴ落ちしてしまった顧客に「カゴの中にまだ商品が残っていますよ」という内容でアピールするためのメールです。カゴ落ち対策としては、不可欠な施策とも言えるでしょう。
ネットショッピングが生活の一部となりつつある現代、実際にECサイトで買い物をするときには、このようなメールを受け取った経験のある方も多いでしょう。
商品を一度でもカートに入れたということは、顧客がその商品に少なからず興味を持っているということです。
カゴ落ちの原因はさまざまありますが、カゴ落ちメールを送ることは通常のメルマガの配信と比較しても、そのメールを通じて起きるCVRが4~5倍もあるとされています。
では、カゴ落ちメールにはどのような効果が期待できるのでしょうか。
購買意欲をリマインドし顧客を呼び戻す
カゴ落ちしてしまった顧客の中には、「忙しくて途中で買うのを辞めてしまった」「寝る前にサイトを見ていたが眠たくなってしまった」など、事情があって決済まではいたらなかったものの、購買意欲のある顧客も一定数存在します。
こうした顧客に対して、カゴ落ちメールで商品の決済がまだ終わっていないことを思い出させるのは効果的です。
もともと購買意欲のある顧客なので、時間がある時に再びサイトに戻ってきてくれることが期待できます。また、一旦サイトを離れてしまったことで購買意欲が薄れている場合でも、再び意欲を向上させることにも繋がるでしょう。
購入を迷っている顧客の後押しになる
他社との比較のためにサイトを離れたり、購入を迷っている顧客にもカゴ落ちメールは有効なアピール方法となります。
こうした顧客は購買意欲はかなり高いので、カゴ落ちメールがCVのあと一押しのきっかけになることが必要です。
たとえば該当商品が値下がりした場合、お知らせとともにカゴ落ちメールを送ると顧客の決断の強い後押しになるでしょう。
カゴ落ちの平均データは約70%
Bay Institude社の調査によると、世界のオンラインショッピングにおけるカゴ落ち率は、なんと全体の69.8%に上ることが明らかになりました。
たとえば、年間1000万円分の商品がカートに入れられるとすれば、その7割近くがカゴ落ちしているので、700万円もの機会損失を生んでいることになります。
さらに、株式会社イー・エージェンシーが行ったカゴ落ち対策ツールの利用状況調査※2)によると、カゴ落ちで発生する機会損失額は平均して売り上げの2.5倍、調査期間の最高値では3.1倍にまで達していました。
これを実際の数字に置き換えると、売り上げが500万円あるとすれば、そのときの機会損失額が1250万円にのぼることになります。
ショッピングカートに入れたということは、何らかの原因で決済には至らなかったものの、顧客は一度はその商品に興味を持ったということです。
もし、適切なカゴ落ち対策で顧客の興味を呼び戻し、カゴ落ちを減らすことができたなら、この高額の機会損失額を売り上げへと押し上げることが可能になるのです。
また、カゴ落ち対策は顧客サービスの向上にも繋がります。
顧客にとって分かりやすく利用しやすい環境を整えることで顧客満足度が向上し、サイトへの再訪回数も増えます。さらに対策時に収集したデータは、自社商品の改善やペルソナの見直しなどにも役立つはずです。
このようにカゴ落ち対策の徹底は、企業にとって大きなメリットとなるのです。
※2)ECサイト、売上の約2.5倍がカゴ落ちによる機会損失 ~ イー・エージェンシー
カゴ落ちメールの重要性
カゴ落ちメールは低コストで売り上げに貢献できる点で、非常に高い有用性があります。
コロナウイルスの影響で外出自粛の風潮が広まっている現代、顧客の在宅時間は増加傾向が見られます。これに伴いオンラインショッピングへの新規参入も増えてきており、競争はますます激化しているのです。
ECサイトにおけるカゴ落ち率も、年々上昇傾向にあるのが現状です。CVRが下がればそれを改善すべく新たな広告を打つ必要性が出てきますが、これには大幅なコストが掛かるため何度も大掛かりな宣伝を行うことは現実的ではありません。
カゴ落ちした顧客はそもそも高い購買意欲を持っており、最もCVに近い見込み客であるとも言えます。こうした顧客の背中を押し商品の購入に繋げることは、効率の良いマーケティング手段であり、売り上げアップを図る上での重要性も高いのです。
また、顧客はインターネットを介してさまざまな情報を集めようとします。そのため、一度のサイト訪問で商品の購入を決めず、サイト間を横断しながら比較検討をしています。つまり、即決購入の流れは少なくなり、カゴ落ちの状態がより起こりやすくなっているのです。
高度経済成長期のように大量のものが売れていく時代ではなくなった今、顧客の客単価向上の重要性は従来より高まってきています。一度は購入を検討した顧客のフォローアップをすることで、自社製品購入の選択を促すこともカゴ落ちメールの役割の1つと言えるのです。
カゴ落ちメールは配信タイミング・内容・回数が重要
それでは、より効果的にカゴ落ちメールを配信するためにはどのような点に気を付ければよいのでしょうか。
ここでは、配信するタイミング、内容、回数に分けてそれぞれのポイントをご紹介します。
メールを送るタイミング
カゴ落ちメールを配信する際、タイミングは非常に重要であると言えます。
カゴ落ちした顧客の中には、「時間がなかったので決済を後伸ばしにした」「他社の商品の比較検討したかった」「ボーナスの支給を待っている」など、購買意欲がある方も多くいらっしゃいます。そのような顧客に同じようなメールを何度も送ってしまうと、かえって不快な思いをさせてしまい、購入意欲の減退に繋がりかねません。
カゴ落ちメールは、効果的なタイミングを狙って適切な回数に抑える必要があるのです。
KPMGジャパンが行った「オンラインショッピングにおける消費者行動の実態」調査※4)によると、ECサイトで商品を見つけてから購入するまでにかかる時間は、食品では即日と回答した割合が最も高かったものの、ファッション、化粧品、贅沢品、電子機器の項目では1週間未満が即日を上回る結果となりました。
また、商品の価格によって購入決定のタイミングは少しずつ後ろに倒れていき、電子機器では1~2週間の回答が即日を上回りました。
一般的にカゴ落ちメールを送るタイミングは、「3時間後、24時間後、1週間後」が効果が高いとされています。しかしこの結果から、商品の価格帯によって前後にずらして行うのが最も効果的だと言えるでしょう。
※4)ECサイトで「購入までにかける平均時間」はどのくらい? 商材と価格別の調査結果 | ネットショップ担当者フォーラム
メール内容
カゴ落ちメールの内容は、以下の2点に気を付けて作成しましょう。
①メールの中に商品の画像やURLを載せる
いくら効果的なタイミングでメールを送ったとしても、インパクトがなければ読み飛ばされてしまうでしょう。メールの内容は、ビジュアルに訴える必要があります。商品画像を積極的に添付するようにしましょう。
そのため、テキストメールではなくHTMLメールを使用する方がより効果的です。
また、商品のURLを載せておくことで、ECサイトのトップページを通過することなくダイレクトに商品のページに辿りつくことができ、顧客の手間を省くことができます。
②内容や言い回しを毎回変化させる
カゴ落ちメールは複数回送ることがほとんどですが、内容は毎回少しずつ違ったものにしましょう。同じものを送り続けても、顧客は飽きてしまうだけです。
たとえば、メールの件名を変えるだけでも効果があるとされています。
もし、値下げ情報やショップのセール情報などがあれば、お知らせするのも効果的です。顧客が購入に至るまでの後押しとなってくれるでしょう。
メールを送る回数
カゴ落ちメールに限らず、送信回数が多すぎると顧客は次第にメールを読まなくなってしまいます。
Mail Marketing Lab社が行った「メールマガジンに関する意識調査2019」※5)によると、メルマガを読まなくなる理由の第2位にも「配信頻度が多すぎる」ことが挙げられています。
上でもご紹介したように、カゴ落ちメールを送る最も効果的な回数は3回と言われています。
できる限り少ない回数で、効果的なメールを送るようにしましょう。
※5)メールマガジンに関する意識調査2019 | メルラボ (mailmarketinglab.jp)
カゴ落ちメールの文面のアイデア
ここでは、カゴ落ちメール作成のコツと文面例をご紹介します。
以下で説明する内容を参考に、顧客の印象に残るメール作りを心がけてください。
件名
件名の作成は、カゴ落ちメールを作成するうえで非常に重要です。件名次第では開封率、CVRに大きく影響します。
効果的な件名を作成するためのコツは、件名をメールの内容が一目で分かるものにすることです。
そのために、件名に会社名やショップ名をいれるのは避けましょう。それは多くの場合、顧客はスマホでメールを受け取るからです。
スマホでは、メールの受信一覧のページに送信者の名前が表示されます。短い文字数の中で、より明確な内容を伝えるため、件名にはメールの内容のみを入れることをおすすめします。
本文
本文は基本的には以下の構成を参考に作成しましょう。
・名前
・来店や利用のお礼
・ポイント情報やクーポン情報など
・カゴ落ち商品の掲載
メール本文の内容は、目的や送信回数によってアレンジしてみてください。
カゴ落ちの原因によって、メールの文章に入れる情報に工夫をするのもおすすめです。
たとえば、高額な家電などを取り扱っている場合は保証期間や返品方法を提示して、安心感をアピールするのもよいでしょう。
また、送料無料や決済方法についての情報を盛り込むのも効果的です。
メール例文のまとめ
では、これまでの内容を参考にしたメール例文をご紹介します。
カゴ落ちメールを作成する際のテンプレートとして、ご活用ください。
メールの内容は、送信のタイミングによって変化をつけることをおすすめします。
①カゴ落ちから数時間のタイミング
件名:カートの中にお買い忘れの商品はありませんか?
本文:来店のお礼
ポイントやクーポン情報など
カゴ落ち商品の掲載
件名:購入手続きがまだ完了しておりません
本文:来店のお礼
送料無料や決済方法の紹介
カゴ落ち商品の掲載
②カゴ落ちから数日のタイミング
件名:お探しの商品はありましたか?
本文:来店のお礼
ポイントやクーポン情報など
カゴ落ち商品の掲載
件名:お困りの点はありませんか?
本文:来店のお礼
注文に関するよくある質問など
カゴ落ち商品の掲載
③カゴ落ちから数週間のタイミング
件名:いつもご利用ありがとうございます
本文:来店のお礼
セール情報や新商品の情報など
カゴ落ち商品の掲載
カゴ落ちから数時間~数日の顧客は購買意欲はあるものの、時間がなかったり他社商品との比較検討段階にある場合があります。
そのため、カゴ落ち商品やお得に購入できる方法をアピールすることで、その商品の買い漏れを防ぎます。
一方でカゴ落ちから数週間立っている場合、商品によっては顧客に忘れ去られていることも考えられるので、別の方法で興味を引く内容も盛り込むとよいでしょう。
なぜカゴ落ちが起きる?
カゴ落ちが起きる原因はさまざまありますが、対策を講じるためにはなぜカゴ落ちが頻発しているのかを明らかにする必要があります。
アメリカBay Institude社の調査※1)によると、Webサイトに関してカゴ落ちが起きる主な原因として、以下の点が挙げられていました。
※1)44 Cart Abandonment Rate Statistics – Cart & Checkout – Baymard Institute
送料や手数料などの料金が高すぎた
ECサイトにおいて、商品の発送先や内容などによっては高額の送料や手数料がかかります。
しかし、顧客はこうした商品以外にかかるコストを面倒に感じるのです。
アカウントを作る手間が面倒だった
初めてサイトで買い物をする顧客の場合、アカウントを作ることが面倒でカゴ落ちしてしまうこともあります。
アカウントを作るには、いくつかの項目に入力したり個人情報を提示したりしなければなりません。こうした手間を嫌って、購入を諦めてしまうのです。
購入までの流れが長すぎた/複雑すぎた
購入までのプロセスにおいて、顧客はストレスを感じやすいものです。
特に、何ページにもまたがっての決済や複雑な入力項目などは面倒に感じることも多く、カゴ落ちしてしまう顧客も少なくありません。
クレジットカードの個人情報を入力するのが怖かった
ネット社会において、顧客は個人情報の取扱いに慎重です。もし、サイトが信用できないと感じたら、クレジットカードなどの個人情報を入力するのに不安をおぼえます。
最初にトータル金額が分からなかった
商品紹介のページに送料や手数料の説明がない場合、顧客は商品自体の値段を支払い金額と捉えてしまいます。そして、いざ決済のページに行きついたとき、思ってもみない実際の支払金額に驚き、カゴ落ちしてしまうのです。
サイトにエラーが出た/サイトが壊れていた
ECサイトや入力フォームが壊れていたなどの理由で利用できないと、顧客はわざわざ問い合わせることなく購入を諦めてしまいます。
返品に関して不安があった
ECサイトで顧客が買い物をする場合、返品に関するサイトの方針も顧客にとっては重要な判断材料です。返品不可だったり返品の手間を顧客が負担したりするような仕組みの場合、購入には後ろ向きになってしまうのです。
希望の決済方法がなかった
顧客が商品を気に入り購入したいと感じても、希望の決済方法がないと諦めてカゴ落ちしてしまいます。
ECサイトにおいて、決済にはクレジットカードが使われることが多いですが、中にはクレジットカードを持つことを嫌がる人やカードを作ることのできない若者などもいるのです。
カゴ落ち対策7つ
これまでに述べたカゴ落ちの原因から、カゴ落ちメール以外にも考えられる7つの対策方法をご紹介します。
カゴ落ちの原因はさまざまあります。そのため、CVRの改善には複数の原因と向き合わなければいけないかもしれません。しかし、こうした課題を一つ一つ解決していくことが、CVR向上には欠かせないのです。
自社の現状と見合わせ、課題解決のヒントとしてぜひ参考にしてみてください。
送料無料などで追加の費用を減らす
【原因項目】
・送料や手数料などの料金が高すぎた
・最初にトータル金額が分からなかった
商品以外の料金にあることは、カゴ落ちが起きる一番の原因です。
このような課題が見えた場合、最もおすすめの対策は送料無料などにして追加費用を減らすことです。
特に、送料無料であるということは顧客の購入決定に大きく影響します。Barilliance社の調査※3)によると、顧客の約73%がオンラインショッピングをする際に送料無料であることを重視すると答えています。可能であれば、ぜひ送料は無料にしましょう。
また、「○○円以上購入で送料無料」とすると、客単価のアップも合わせて見込めます。
費用を減らすのが難しい場合は、事前に送料や手数料が掛かることや支払の総額が分かるように明示しましょう。
※3)Top 10 Reasons (and solutions) to Shopping Cart Abandonment. (barilliance.com)
会員登録なしでも購入できるようにする/会員登録の手順を簡単にする
【原因項目】
・アカウントを作る手間が面倒だった
時間がなかったり隙間時間でECサイトを訪れた顧客は、決済前にアカウントを作らなければいけない場合、手間を面倒に感じてカゴ落ちしてしまいます。
Birilliance社の調査でも、カゴ落ちした顧客の22%、全ての顧客の28%はアカウントを作成する段階で離脱していることが分かります。
このような顧客の離脱を防ぐためには、会員登録なしでもビジターとして商品を購入できる仕組みを作るのがよいでしょう。
また、どうしても会員登録が必要な場合は、「なぜ登録が必要なのか」を提示しておくことで、顧客の納得感を得ることができます。
購入の際に入力した個人情報を使ってアカウントも作成できる設計にしておくと、購入とアカウント登録が一度にできて便利です。
リピーター獲得の施策にも有用なので、こういったサイト設計はおすすめです。
購入プロセスを簡単にする
【原因項目】
・購入までの流れが長すぎた/複雑すぎた
購入プロセスの最小化も、カゴ落ち防止には効果的な施策です。
入力する情報が多すぎたり、何ページにもまたがった操作が必要だったりすると、決済までに時間が掛かりすぎてしまいます。すると、時間のない顧客や面倒だと感じる顧客はサイトを離脱してしまうのです。
そのため、購入までにかかるステップはできるだけ少なくする必要があります。
Amazonの「1-click注文」は、購入プロセスの最小化を実現した分かりやすい例と言えるでしょう。顧客があらかじめ配送方法や決済方法を登録しておくことで、注文時はボタンひとつで決済までを行うことができるのです。
こうした購入プロセスの最小化は顧客の混乱を防ぎ、約3割の顧客の離脱に有効であると言われています。
セキュリティ対策への取り組みを明示する
【原因項目】
・クレジットカードの個人情報を入力するのが怖かった
顧客のサイトへの信用度が低い場合、クレジットカードの情報を入力する場面でのカゴ落ちが起きてしまいます。
こうした原因で起きるカゴ落ちを防ぐためには、サイトの信用度を向上させる施策を講じ、顧客に安心感を与える必要があります。
まずは、サイト内に代表者の顔写真や経歴の掲載、連絡先や住所の明記を徹底します。
さらに、顧客が個人情報を入力するページはSSL対応にし、サイト内に「SSL証明」取得を明示しましょう。
SSLとは、顧客のブラウザとサーバー間のデータを暗号化する技術のことです。「SSL証明」を明示することでサイトの安全性をアピールできます。
入力アシスト機能を搭載したツールを利用する
【原因項目】
・アカウントを作る手間が面倒だった
・購入までの流れが長すぎた/複雑すぎた
これらの原因項目に対する施策はそれぞれ、上でも紹介しました。しかし、ビジターとしての購入が難しい場合やどうしても質問項目をこれ以上少なくできないなどのケースもあります。
また、さらに顧客の手間を削減する施策が必要になる場合もあるでしょう。
そんなときにおすすめなのが、入力アシスト機能を搭載したツールを利用することです。
個人情報の入力中にエラーが出て、次に進めなかったり最初から入力しなおしになったりしてしまうと顧客は強いストレスを感じ、サイトから離脱してしまいます。
入力アシスト機能のあるツールを使うと、間違った情報が入力されたり未入力の項目があるとその部分が赤文字で表示されたり、エラーが出たまま次のページに進めないようにできます。
こうすることで、顧客は何度も入力のし直しをすることがなくなり、スムーズに決済まで進めるのです。
返品や交換方法を明示する
【原因項目】
・返品に関して不安があった
Birillianceの調査では、66%の顧客は返品について柔軟なサイトを利用する傾向にあることも明らかになっています。
ECサイトで商品を購入する場合、実店舗のように手に取って確認したり試してみることはできません。そのため、返品ができるかどうかや返品可能になる条件について重視している顧客は多いのです。
サイト上に返品の方針が明記することで、顧客は安心してオンラインを楽しめます。
返品方法、返品可能期間などについては、できる限り柔軟な対応がとれるようにしておきましょう。
決済方法の選択肢をできるだけ多くする
【原因項目】
・希望の決済方法がなかった
希望の決済方法がない場合、顧客の約7割がサイトを離脱してしまうと言われています。
オンラインショッピングでの決済はクレジットカードの利用が多いですが、それ以外の決済方法を希望する顧客がいるのも事実です。
たとえば、クレジットカードを持たず現金支払いを希望する人や、若者でクレジットカードを作れない人のためには後払い決済や代引き決済が必要でしょう。
クレジット決済、後払い決済、代引き決済の3つは、特に利用を希望する顧客が多いので、選択肢の中に入れておくことをおすすめします。
その他にも銀行決済がしたい、キャリア決済がしたいなど決済方法にはさまざまあるので、より多くの決済方法を用意しておくことでカゴ落ちを防止しましょう。
決済フォームの改善は、システムの取り換えなどが必要になって大幅な工数を要してしまうことがあります。
そんな時には入力フォームの最適化ができるEFOツールや、決済代行サービスとの連携ができるツールを利用するとよいでしょう。
カゴ落ち対策に有効な3つのツールと選定ポイント
カゴ落ちの各原因に対して有効な対策を説明してきましたが、対策の中にはシステムの再構築などが必要になり、自社だけでは対応しきれない、もしくは対応に膨大な時間を必要とするものも多くあります。
そんなときに役立つのが、カゴ落ち防止に有効な対策ツールを利用することです。
ここでは、カゴ落ち対策に有効なおすすめツールを3つご紹介します。
カートシステム
カートシステムとは、インターネット上で商品やサービスの販売を一連の流れとして可能にするソフトウェアのことです。
基本的な機能としては、「購入する商品を入れておく機能」と「カゴに入れた商品を購入する機能」を有しているシステムですが、現在では顧客管理や販促プロモーションなどさまざまな機能を持ったものも登場しています。
カートシステムはECサイトを構築する上で必須のツールなので、既にサイトを立ち上げている方は、いずれかのシステムを導入しているでしょう。
しかし、カゴ落ち対策として取り組みたい施策にシステムが対応していない場合は、乗り換えを検討する必要があります。
特に、決済方法などはカゴ落ちの大きな要因となっています。
一度運用を始めたシステムの乗り換えは手間もかかりますが、売り上げ拡大などのためにはやむを得ない場合もあるのです。
EFO(Entry Form Optimization/エントリーフォームオプティミゼーション)ツール
EFOとは、入力フォーム最適化のことです。導入することで、顧客が入力フォームへの書き込みを、少ない手間で正確にエラーなく完了できるようにサポートします。
カゴ落ちの主な原因のひとつとして、購入までの流れが長すぎた/煩雑過ぎたという点がありました。
しかしEFOツールを利用すると、入力漏れの項目をカラーリングして分かりやすくしたり、必須事項に未入力部分がある場合には次ページへの移動を制限してエラーを防いだりできます。
こうすることで、顧客のストレスを最小限に抑え、カゴ落ちやページ離脱を防ぐことができるのです。
チャットボット
チャットボットとは、顧客からのメッセージや音声に対してロボットが会話形式で対応するシステムです。
こちらも、購入プロセスが長すぎる、または煩雑過ぎると感じてカゴ落ちしてしまうという課題に効果的にアプローチできるツールです。
入力フォームや質問項目をできるだけコンパクトに収めたいと思っていても、商品やサービスによってはどうしてもこれ以上減らせないという悩みを持っている企業もあるでしょう。
こうした場合に、チャットボットを使うと非常に高い効果が得られます。
顧客の多くはLINEやDMなどを普段から使い慣れているため、会話形式でテキストを入力していくことは、一般的なフォームへの入力に比べてストレスを感じにくいのです。
また、決済時の個人情報を入力する際のストレスも同様の理由から軽減することができます。
既存のサイト上にチャットボットを設置すれば、大幅なシステムの再構築やHPのリニューアルによる顧客離れも防ぐことができ、コスト削減に繋がるのもおすすめのポイントです。
チャットボットでカゴ落ち改善を実現した5つの事例
では、具体的に企業がどのようにカゴ落ち改善を実現していったのか、5つの事例を参考にみていきましょう。
ここでは、上でも紹介したチャットボットを使った決済フォーム「BOTCHAN Payment」の導入事例からご紹介します。
株式会社フロムココロ(デイリーワン)
画像引用:https://www.fromcocoro.com/
【主な事業内容】
・健康食品の販売
・それに付随する商品の販売
【課題】
・CVR改善
【結果】
・CVR150%改善
・アップセル率が通常フォームに比べて5ポイントアップ
チャットボットの導入前は、自社でもLP内の改善を重ねるなど地道な努力を続けていたそうです。しかし、表現方法の限界を感じたこと、予算や工数面の問題からカートシステムの変更は避けたかったことから、チャットボット導入を決めました。
現在も管理画面データなどを用いて、定期的な改善運用に取り組んでいるということです。
参考URL:https://botchan.chat/case/fromcocoro
株式会社クロコス(Siro jam)
画像引用:https://hand-webshop.com/sirojam/
【主な事業内容】
・健康食品の販売、それに付随する関連商品の販売
・化粧品の販売、それに付随する関連商品の販売
【課題】
・CVR改善
【結果】
・CVR140%改善
・アップセル・クロスセル
販売中のハンド美容液「Siro jam」は一定の販売数値は残していたものの、競合の増加や厳しい広告審査からくる顧客獲得単価の高騰に課題を感じ、CVR改善を模索していたそうです。しかし、人手不足などから今までの改善施策を継続していくことに限界を感じ、チャットボットの導入を決めました。
BOTCHANを経由することでサンクスページを使い分けることができるようになり、アップセル・クロスセルにも繋がったということです。
参考URL:https://botchan.chat/case/sirojam
株式会社レッドビジョン(マイナチュレ)
画像引用:https://www.my-nature.jp/
【主な事業内容】
・医薬部外品の販売
・化粧品、その他化粧品関連商品の製造および販売
・健康食品、その他健康関連商品の製造および販売
・日用雑貨の製造および販売
【課題】
・CVR改善
・カゴ落ち防止
【結果】
・CVR200%改善
こちらの企業では、もともと他社と比較してもカート離脱率が高いという課題を抱えていました。チャットボットを導入するだけでなく、導入後も担当カスタマーサクセスからの提案も参考に改善を重ねたことも、課題解決の大きな要因になったそうです。
参照:https://botchan.chat/case/redvision
株式会社ライブナビ(ドクターワンデル)
画像引用:https://wandel.jp/
【主な事業内容】
・通販事業
【課題】
・CVR改善
・カゴ落ち防止
【結果】
・導入半年で売り上げが約10倍伸長
販売件数拡大を図る中でカゴ落ちの数値に課題を感じ、チャットボットの導入を検討していたそうです。それまでの購入カートでは「どの段階で顧客が離脱しているか」などは分かっていなかったのですが、BOTCHAN内のデータがある程度たまったところで、効果的に改善を図ることもできるようになったということでした。
参照:https://botchan.chat/case/livenavi
株式会社ファンファレ(ととのうみすと)
画像引用:ttps://fanfare-shop.com/item/totonoumisuto/
【主な事業内容】
・健康食品の販売
・健康食品に付随する商品の販売
【課題】
・売り上げアップ
・CVR改善
【結果】
・CVR120%改善
主力商品である「ととのうみすと」の販売件数が落ちてきていることに課題を感じ、CVR改善の施策にチャットボットを導入したそうです。一時は在庫切れしそうになるほど効果が上がったとのうれしい悲鳴を上げられていました。
参照:https://botchan.chat/case/fanfare
カゴ落ち改善にはBOTCHANがオススメ
ECサイトにおいて、カートに入れられた商品の約7割はカゴ落ちをしています。
カゴ落ちを防ぐための施策はいくつか考えられます。まずは原因を探ることで、効果的な施策を打つことが可能になります。
中でもカゴ落ちメールを配信することは、この大きな機会損失を売り上げに押し上げるためには欠かせない手段です。少ないコストで効率よく売り上げ貢献ができる点でも、ぜひ試してみてほしい施策と言えます。
また、何から手を付けていいか迷ったときは、カゴ落ち対策に専用ツールを使うのもおすすめです。
チャットボットサービス「BOTCHAN」では、入力フォームの最適化が叶う「BOTCHAN EFO」やカートに依存しないチャット型決済フォーム「BOTCHAN Payment」といった、カゴ落ち防止に役立つツールを利用できます。
カゴ落ち対策に悩んだら、ぜひ導入を検討してみてください。