チャットボットのシナリオ設計3つのポイントは?手順から解説

2021.02.05
#チャットボット

チャットボットを導入・運用して、期待通りの効果を得るためには「シナリオ」の設計が欠かせません。チャットボットのシナリオとは、同プログラム内でユーザーを目的の情報まで案内する導線のことを指します。

このシナリオの良し悪しによって、カスタマーサポートの精度が変わったり、顧客満足度やCVRが上下したりするため、良いシナリオを設計することが大切です。

本記事では、チャットボットのシナリオ設計に関する基礎知識と準備、さらには種類別の作成手順や成功ポイントについて紹介します。

チャットボットのシナリオ設計に役立つ基礎知識

チャットボットのシナリオ設計を行うにあたり、知っておくべき基礎知識を解説します。あらかじめシナリオの概要や重要性を押さえておけば、チャットボットの導入目的やユーザーニーズに合ったシナリオを設計しやすくなります。

シナリオとは

チャットボットのシナリオとは、チャットボット内においてユーザーを目的の情報まで案内する導線のことです。

チャットボットが起動すると、サイトの片隅、もしくは全画面に「知りたい情報を入力してください」といったメッセージが表示されます。

チャットボットの導入目的やユーザーニーズによって、シナリオの内容は変わりますが、第一声のメッセージ発信から、ユーザーをゴールに導くためのストーリーを作ることが、シナリオ設計における基本的な流れです。

シナリオの重要性

チャットボットに良質なシナリオを組み込めば、ユーザーはスムーズに目的の情報へとたどり着けるようになります。

逆にシナリオの内容が悪いと、ユーザーは問題の原因を特定できなかったり、どのように質問すべきかを迷ったりするので、チャットボットの機能不全を起こしかねません。

ユーザーがストレスなく欲しい情報を得られることで、顧客満足度アップやCV(コンバージョン)にもつながる可能性が高まるため、シナリオ設計は重要です。

チャットボットのシナリオ設計前に必要な準備

チャットボットが期待通りの効果を発揮するかどうかは、シナリオ設計にかかっているといっても過言ではありません。

そこで、シナリオ設計前に必要となる準備を解説します。良質なシナリオを作るためにも、準備の過程はしっかり押さえましょう。

既存の課題点を分析する

チャットボットを導入・運用する場合、まずは既存の課題を洗い出して分析することが大切です。チャットボットと一口にいっても多様な種類があり、それぞれ特徴や機能も異なります。

そのため、自社が抱えている課題を分析したうえで商品を選ばないと、チャットボット本来の効果を発揮できない可能性があるのです。

「コールセンターへの問い合わせが多くて対応しきれない」、「自社ECサイトのCVRが改善しない」といった課題に合わせてチャットボットを選定すれば、より高い効果が期待できます。

また、現状のロスを定量的に整理することも大切です。

例えば「コールセンターの応答率が95%であることで顧客満足度が20%低下している」というケースでは、応答率の5%を埋められるようなチャットボットが必要だと分かります。

目的を整理する

課題や問題点を分析したら、次はチャットボットの導入目的を整理する必要があります。先述した通り、チャットボットにはさまざまな商品があり、商品ごとに特徴や機能が異なるため、果たせる役割も変わってくるからです。

「コールセンターの業務負担を軽減したい」、「ユーザーの悩みを早急に解決してCVRを高めたい」など、チャットボットによってどのような課題に取り組みたいのかを具体化すれば、導入目的が明確化されます。

また、課題を解決したときに得られるインパクトを整理することも大切です。

例えば「問い合わせ対応をチャットボットで一部自動化することにより、月間100万円のコストを削減できる」など、具体的な数値も交えて効果を明確にすれば、チャットボットの要否も分かり安くなるでしょう。

チャットボットに任せる範囲を定める

導入目的を明確化したら、次はチャットボットに任せる業務範囲を決定しましょう。

チャットボットはすべてのニーズに対応できるわけではないので、問い合わせ内容によってはユーザーが満足する会話を実現できない可能性もあります。

確かな効果を得るために、特にチャットボットに対応させたい箇所、もしくはチャットボットに代行させることで事業への改善インパクトが大きい箇所を見極めて、業務範囲を検討することが大切です。

そうすれば、どのようなチャットボットが自社に最適なのか、導入後の費用対効果はどの程度になるのかといったことも確認しやすくなります。

チャットボットは便利ですが、単に導入するだけでは大した効果が期待できない場合もあるので、あらかじめ下準備をしっかり整えておきましょう。

【種類別】チャットボットのシナリオを作成する手順

チャットボットは大きく分けると、以下の3種類があります。

  • シナリオ型(ルールベース型)≒AI非搭載型
  • AI型(FAQ型)
  • ハイブリッド型

この3種類はそれぞれ性質や特徴が異なるので、シナリオ設計における作成手順やコツも変わってきます。

どれが一番優れているといったものではないため、自社の状況やチャットボットの導入目的に合わせて選ぶことが大切です。そこで、チャットボットの種類ごとに概要やシナリオ作成手順を解説します。

シナリオ型(ルールベース型)

「シナリオ型(ルールベース型)」とは、ユーザーからの質問に対して、あらかじめ作成されたシナリオに基づく複数の選択肢を提示するというタイプです。

ユーザーにその選択肢を確認してもらって、目的の情報を絞り込んでもらいます。AIを搭載していないため、会話自体は認識できませんが、シナリオというルールに沿って機能することで、会話を成立させることが可能です。

ここでは、シナリオ型におけるシナリオ作成手順や特徴について解説します。

作成手順

シナリオ型(ルールベース型)のシナリオは、以下のような流れで作成します。

  1. FAQ(よくある質問)を洗い出し、典型的な質問やそれに対して提示すべき選択肢を用意する
  2. 選択肢ごとに分岐先の選択肢を用意して、ツリー状のシナリオを作成する
  3. 上記のシナリオデータをチャットボットにアップロードすれば完了

特徴

シナリオ型(ルールベース型)はAI(人工知能)による会話認識ができないので、適切な選択肢を提示させるためには、基礎となるシナリオをしっかり作成しなければなりません。

その代わりシナリオが少ない場合、他のタイプより工数を抑えやすいので、スピーディーに導入できます。また、AIを搭載していないという性質上、導入にかかる費用も安くなることが一般的です。

初期費用数万円、月額費用1万円程度という安価なプランも存在するので、手軽に導入できます。

逆にシナリオが多くなる場合、工数が大幅に増えたり、回答精度が低下したりする可能性もあるため、AI搭載型のチャットボットを選んだほうが良いでしょう。

AI型(FAQ型)

「AI型(FAQ型)」とは、過去の入力・行動履歴をAIが学習して、統計的にユーザーが求めている回答や商品・サービスを提示するというタイプです。1つの質問に対して1つの回答を自動的に返す、一問一答形式が基本となります。

ここでは、AI型(FAQ型)におけるシナリオ作成手順や特徴について解説します。

作成手順

AI型(FAQ型)のシナリオは、以下のような流れで作成します。先述したシナリオ型と似ている部分もあるので、混同しないよう注意しましょう。

  1. FAQや問い合わせの内容を洗い出し、典型的な質問やそれに対して提示すべき選択肢を用意する
  2. 初期シナリオとして想定問答集を一問一答形式でまとめる
  3. 上記のシナリオデータをチャットボットにアップロードする
  4. AIの回答精度が高まるよう継続的にチューニングを行う

特徴

AI型(FAQ型)のAIは初期状態だと機能しないことが多いので、学習が進むまで初期シナリオ(想定問答集)に基づいて活用します。

初期シナリオの設計にかかる工数は、シナリオ型と同じくシナリオ自体のボリュームによって変動しますが、AI型の場合は、そこからさらにAIをチューニングするための工数も必要です。

AIの回答精度が高まるまで数カ月~1年程度かかる可能性もあるので、最初のうちはなかなか効果を実感できないかもしれません。

また、AIは高度な機能なので、初期費用が5万~100万円程度、月額費用が10万~100万円程度と導入費用も高めです。

ただし、AIが学習によって進化すれば、シナリオ型よりも複雑な会話を行ったり、多種多様な質問に対してスムーズに回答したりすることができます。

最終的に人間のスタッフと変わらないほど、クオリティの高い応対を実現することも可能です。

ハイブリッド型

「ハイブリッド型」とは、その名の通りシナリオ型とAI型の機能を組み合わせたタイプです。

ユーザーの質問に対して一問一答形式で回答しつつ、必要に応じて条件分岐の選択肢を提示するなど、シナリオとAIを併用しながらゴールへと導きます。

ここでは、ハイブリッド型におけるシナリオ作成手順や特徴について解説します。

作成手順

ハイブリッド型のシナリオは、以下のような流れで作成します。

  1. FAQや問い合わせの内容を洗い出し、典型的な質問やそれに対して提示すべき選択肢を整理する
  2. 質問に対する回答と選択肢をそれぞれ用意する
  3. 上記のシナリオデータをチャットボットにアップロードする
  4. AIの回答精度が高まるよう継続的にチューニングを行う

特徴

ハイブリッド型はシナリオ型・AI型における強みやメリットをそれぞれ享受できるので、対応力に優れています。

ただし、ツリー状のシナリオと想定問答集の両者を用意しなければならないため、他のタイプよりも工数はかかりやすいです。また、AIの学習・チューニングも必要なので、本来の効果を発揮するまで時間もかかります。

初期費用はシナリオの量にもよりますが、おおよそ10万円強が目安となっています。月額費用は20万円以上が目安ですが、こちらも商品やプランによって変動するため、事前にチェックしておきましょう。

チャットボットのシナリオ設計で成功するポイント

チャットボットのシナリオ設計を行う場合、以下で紹介する3つの成功ポイントを押さえておくことも大切です。成功ポイントに基づいてシナリオの見直しや改善を図れば、期待以上の効果が得られる可能性もあります。

定期的に効果検証を行う

チャットボットは導入して終わりではなく、運用開始後も一定のタイミングごとに効果検証を行う必要があります。

なぜなら、チャットボットを導入しても「当初の予測ほど効果が出ていない箇所がある」、「意外とユーザーに使ってもらえない」といった問題があれば、対処しなければならないからです。

また、チャットボットには導入費用がかかる以上、費用対効果の分析も必要不可欠なので、現状の効果を知っておくことも重要となります。

このように定期的な効果検証を継続して実施すれば、見直すべきポイントや必要な改善対策が見えてくるため、費用対効果のアップにつながるでしょう。

継続的にメンテナンスを行う

チャットボットの導入効果や費用対効果を高めるためには、効果検証だけではなく、継続的にメンテナンスを行うことも大切です。

チャットボットを導入する場合、何度も推敲しながらシナリオを作成しますが、いきなり完璧なシナリオに仕上げることは極めて困難です。

実際、当初のシナリオに手を加えず、その後も問題なく運用できたというケースはほとんどありません。

確かな効果を得るためには、アクセス数や離脱率などを分析したうえで、さらに「どの部分で離脱しているのか」「どこに改善の余地があるのか」といったことを見極める必要があります。

特にAI型チャットボットの場合、機械学習によって回答精度が高まりますが、そのためには継続的なチューニングが欠かせません。

サポート・コンサルを活用する

チャットボットを導入・運用する場合、ベンダーが提供しているサポートやコンサルティングといった支援サービスも有効に活用すべきです。

チャットボットを長期的に運用していると、カスタマイズの方法やシナリオの改善について、ベンダの知見を借りたくなる場面も出てきます。

特にAI型チャットボットの場合、継続的なチューニングが必要ですが、効率的に回答精度を高めるためには、IT分野に詳しい専門家の知見が欠かせません。

必要に応じてベンダーのサポート・コンサルを活用できるかどうかで、効果的な施策を打てる確率も変わってきます。

初めてチャットボットを導入するときや、IT分野に精通しているスタッフがいないときは、支援サービスの内容も踏まえてチャットボットを選定しましょう。

チャットボット各社のサポート内容、そして月額の料金などについて比較したい方はこちらの記事をご覧ください↓
チャットボット21社を比較!2つの目的別に機能や費用を解説

まとめ

チャットボットで期待通りの効果を得るためには、自社の課題や目的に合わせて良質なシナリオを作成すること、および効果検証やメンテナンスを欠かさないことが大切です。

時間がかかる可能性もありますが、見直しや改善を図りながら根気よく運用すれば、導入費用に見合うだけの効果を得ることができるでしょう。

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